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戦嬢の交響曲(1) ファミ通文庫
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戦嬢の交響曲(1) ファミ通文庫

築地俊彦【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 エンターブレイン/エンターブレイン
発売年月日 2006/12/25
JAN 9784757730861

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2008/11/03

寒々とした緊張感が漂う

これが『まぶらほ』と同じ作者かと驚くほど毛色の異なるシリアスな作品。しかし欝展開ではなく荒涼とした、寒々とした緊張感が静かに漂う作風である。まだ第1巻なので主人公【敷波佑鹿】がヒロイン【香椎雪風】と出会い、コンビ(実際には班だが)を組み、これから一緒に戦っていく経緯に重点が置かれ...

これが『まぶらほ』と同じ作者かと驚くほど毛色の異なるシリアスな作品。しかし欝展開ではなく荒涼とした、寒々とした緊張感が静かに漂う作風である。まだ第1巻なので主人公【敷波佑鹿】がヒロイン【香椎雪風】と出会い、コンビ(実際には班だが)を組み、これから一緒に戦っていく経緯に重点が置かれている。雪風は無口で冷酷な鉄面皮、実に可愛げが無い。その実力の高さで畏れられ、愛想の無さで避けられている一匹狼で、後にややツンデレ化するもデレ成分は数%にも満たないツンツクツン娘である。これでは話が進まないため、本巻では明るくてお喋りな世話焼き娘【星村青葉】を仲介役に添えて雪風のこと、学校のこと、怪物【ラルワ】を倒す仕組みのことなど、本作の背景や世界観を説明させている。さらに前半の授業のシーンを通していろいろなことを説明していき、佑鹿が少しずつ会得していくのと同時に読み手もいろいろなことが分かってくる演出である。雪風と佑鹿は当然ながら反りが合わず、雪風がほとんど相手にしない形で進むが、真面目で勉強熱心でなかなか諦めない佑鹿のしぶとさと彼の無属性という特殊能力で少しずつ成果を挙げてくる辺りから次第に佑鹿を認めていくようになる(もちろん態度には出さないが)。それでもちょっとだけ雪風の態度や振る舞いが以前とは違うと青葉が指摘したりすると雪風が可愛く見えてくるから不思議である。さらに後半ではなお一方通行気味ながら会話もするし雪風から話し掛けることもある。最初に比べれば随分な変化である。そして最後にはちゃんとバトルもある。雪風も佑鹿をあてにしながら戦ったりして、2人の関係が少し、ほんの少しだけ変わったことを示唆している。それを象徴するのが最後の着替えシーン。それまで佑鹿がいても平気で着替えをしていた雪風が、恥ずかしさで顔を赤らめながら佑鹿を部屋から追い出すのである。挿絵の雪風が超カワイくてKOされた。正直なところかなり地味な作品である。であるのだが、何か妙に引き込まれるものがあり、かなり・・・いや、とても大好きな作品である。

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