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生涯野人 中江兆民とその時代
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 作品社/作品社 |
発売年月日 | 2007/06/15 |
JAN | 9784861821240 |
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生涯野人
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もはや、この御仁には何を言っても無駄だ。と後藤象二郎は思った。根がまじめなくせに、妙に人を喰ったところがある。すこぶる頭が切れるのに、惚けている‥‥それは、ずっと以前に、あの坂本龍馬にも感じたことだった。(131p) 私の知る限りでは、初めて中江兆民が小説の主要人物になった。そ...
もはや、この御仁には何を言っても無駄だ。と後藤象二郎は思った。根がまじめなくせに、妙に人を喰ったところがある。すこぶる頭が切れるのに、惚けている‥‥それは、ずっと以前に、あの坂本龍馬にも感じたことだった。(131p) 私の知る限りでは、初めて中江兆民が小説の主要人物になった。それどころではない。主人公である。画期的だ。こうやって作られたら分かるが、幕末から明治時代の思想家、政治家のオールスターが出てくる。「兆民」という番組名で大河ドラマにするべきである。 しかし、小説としては不満だらけだ。作者は大学教授らしいが、まるで学術論文から抜け出そうという意識がない。 1番面白い処が客観叙述で通している。少し生き生きしていたのは、龍馬との出会いや芸者との会話部分のみ。留学時代や、「策論」提出、日清戦争の時の気持ち、事業や右翼政党に近づいた時の「本心」、癌だと言われた時の気持ちの揺れ動きなど、「美味しい」処が全く「小説的」ではないのである。 本人にしゃべらせなくても、冒頭にある様に周りに喋らせたらもっと面白くなるのに、という場面はいくらでもあっただろうに。 特に、留学時代にその後の人生を全て「予行演習」させる作りにすれば良かったし、「策論」に書かれたクーデター後の具体的な「妄想」は小説的に作っても良かったし‥‥あゝ俺に書かせろ!無理だけど。 今や、私の好む大河小説を採用したら、堀潤プロデューサーの様にNHKを退社に追い込まれるだろう。何時の間にか、そんな時代になっている。空恐ろしいことではある。 まあ、私の知らない事も幾つかあり、読んでいて面白くはあった。例えば、板垣退助の爵位辞退の文章を書き「華族令は国の弊害のもとになる」とまで書いていたとは知らなかった。ほんに明治時代はある意味、自由だったな。 2013年3月3日読了
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