作家の生きかた 集英社文庫

池内紀【著】

• 販売会社／発売会社: 集英社/集英社
• 発売年月日: 2007/03/25
• JAN: 9784087461428

商品レビュー

2016/01/11

ドイツ文学者・エッセイストの池内紀が、自身の愛する作家20人について、作品やエピソードを交えて彼らの「生きかた」を語ったエッセイ集。集英社の月刊読書情報誌『青春と読書』に「名人さがし」の通しタイトルで連載されたものを中心に、2004年に『生きかた名人　たのしい読書術』として発刊、2007年に文庫化された。
吉田健一「飲み助」~「吉田健一が酒を飲むときの心得を説いている。犬が寒風をさけて日なたぼっこをしているようなものだというのだ。そんなふうにぼんやりした気持で飲むのがいいのであって、ヤケ酒などは下の下に属する。・・・ためしに犬を抱き上げてみるとわかる。日光が毛を通して皮膚まで差し、肉まであたたまってやわらかくなっている。・・・なんともみごとな比喩であって、なまなかな飲み助に言えることではない」
植草甚一「雑学」~「植草甚一は・・・頑迷にも固陋にもならず、またひからびたり、枯渇したりもしなかった。いつも永遠の青年のような好奇心をもち、軽い足どりで街を歩き、一人で、一人の存在でもって、二度とくり返されない人生を、あざやかに生きた。だからこそ、誰もがひそかに思ったわけだ。「トシをとったら植草甚一になろう！」」
そのほか、内田百「借金」、太宰治「心中」、堀辰雄「病気」、芥川龍之介「妬み」、坂口安吾「退屈」、井伏鱒二「借用」、長谷川四郎「おかし男」、寺山修司「ホラ」、田中小実昌「生きのびる」。。。
一見してマイナスの要素もプラスに転換して、自分のスタイルを作り、表現していった作家たちの「生き方」を味わうことができる。
（2007年10月了）

2010/04/20

興味はあるが、いつも退屈で投げ出してしまう日本の近代作家たち。
その横顔を見ることで「読んでみようかな」という気にさせてくれる。
ほかには嵐山光三郎「文人悪食」、「ざぶん」もこれらの作家を身近に感じさせてくれた。

単行本 「生き方名人」とダブリで購入。