幸せが始まる、空の真上

香月美海【著】

• 販売会社／発売会社: 新風舎/新風舎
• 発売年月日: 2007/01/25
• JAN: 9784289011674

商品レビュー

2008/07/02

手元に届いて、一気に読んだ。
なんだかね、言葉の選び方が素敵で、印象派というｲﾒｰｼﾞ。
ゆっくり言葉が紡がれた感じ。
思春期の淡い恋で新鮮な気持ちを思い出し、大人の恋では相手の家族や仕事、ﾌﾟﾗｲﾄﾞに苦悩する七星に感情移入して、泣きながら読んでしまった・・・。
男女の切ない恋愛物語ですが、ﾌｧﾝﾀｼﾞｰと絡めることにより、少し軽く、暖かいものにしている気がしました。

2007/06/25

友達から紹介されたこの本を手にした時、何かが始まる予感がした。
表紙は幸せに分かりやすく当てはまるような色味ではない。
でも、何かがきっとある。

帯にある言葉
＞それでも幸せは始まる。誰の人生にも始まる。
　その入り口はあなたの真上、空の上の、そのまた真上にある。

ページを開く指が期待に震えた。
読み進めるうちに涙がこぼれていた。
登場人物の成長過程で届かなかった想い。運命の悪戯。人を愛し、その人を失うということ。
そこには原因があって、結果がある。
どんなに想っていても結ばれない魂の揺れ動きが心に痛かった。
愛する人、守らなければならないもの、２つを同時に手にすることは叶わない現実。
空の真上の世界で奇跡が起こったのだとしたら、それは七星と龍輔の愛と祈りがもたらしたものではないだろうか？
読み進めるうちに、許しをもらったような気持ちになって、私は涙が出たのだと思う。
誰かを愛することや真っ直ぐな気持ち、願いや残っていくものなど･･･
私自信が何処に向い、行き着く先は何処なのか分からないけれど、百年経っても聞きたい人の声は分かっていた。
この物語の中には涙腺を捻るコックがある。
それは枯れることない透明な泉を私自身の中に持っていられることの証明のような気がする。
失ったのものから繋がり、そして、続いていくものを信じる気持ちがあらためて心に沸き起こった読後感。
本を手にした時に感じたのは、戻れない私の道に後悔を受け入れて進みなさいと背中を押される予感だったに違いない。

この作品は大切な一冊になった。
訪れたことない瀬戸内の風景、そこを始まりとして、作者が心に育ててきたものに思いを馳せたいと思う。