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私の家は山の向こう テレサ・テン十年目の真実 文春文庫
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私の家は山の向こう テレサ・テン十年目の真実 文春文庫

有田芳生【著】

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私の家は山の向こう テレサ・テン十年目の真実 文春文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋/文藝春秋
発売年月日 2007/03/08
JAN 9784167438036

私の家は山の向こう

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商品レビュー

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2017/08/23

「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」等の楽曲は知っている。テレビ の歌番組で歌っている姿も何度か目にしている。でも、テレサ・テンは私に とっては特別な歌い手ではなかった。 それでも、彼女がタイで急死したとのニュースには驚いた記憶がある。 42歳、気管支喘息による...

「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」等の楽曲は知っている。テレビ の歌番組で歌っている姿も何度か目にしている。でも、テレサ・テンは私に とっては特別な歌い手ではなかった。 それでも、彼女がタイで急死したとのニュースには驚いた記憶がある。 42歳、気管支喘息による発作だったという。 そんなテレサの最後の来日となった折りにインタビューをしていたのが 本書の著者である。「わたしのこれからの人生のテーマは中国と闘う ことです」。台湾と中国、ふたつの祖国の間で揺れ動いたテレサは、 著者に再度のインタビューの機会を約束した。だが、彼女の急死で 約束は果たされなかった。 「中国と闘う」。それは天安門事件に衝撃を受けたテレサの決意だった のだろうと思う。台湾と中国との関係、居を構えた香港の中国への返還 を控え、民主化を叫ぶ学生たちに中国政府が加えた弾圧にテレサは 心を痛め、学生たちの行動に共感していた。 私がテレサ・テンという個人にまったく関心がなかったせいかもしれな いが、彼女の生い立ちからその死後までを追った本書には知らないこと がたくさん詰まっていた。 天安門事件をきっかけとしたテレサと政治との係わりもそうだが、子供の 頃から歌の才能を開花させ、台湾や香港では「台湾の美空ひばり」と呼ば れていたこと。そのテレサが日本デビュー後は他の新人歌手同様に扱わ れているのを見て、香港からやって来たリンリン・ランラン(懐かしい~)が 「どうしてアグネス・チャンに個室が与えられてテレサさんはわたしたちと 同じ控室なんですか」と驚き、テレサが姿を見せると興奮してサインを お願いしたこと。 そして、やはり一番気になるのは彼女の死の真相だ。急死であったことも あり、日本のメディアでは謀殺説が多く語られていた。曰く、テレサはスパイ だったから口を封じられた等々。 それらの説には根拠がなかったのだろうと思う。否、テレサがスパイで 謀殺されたことにしておけば、誰かが得をしたのかもしれない。金銭的 にね。 発作による急死。それが本当なのだろうと思う。亡くなる前から彼女と 生活を共にしていた14歳年下のフランス人男性の行動には不可解な 部分もあるけれど。ほとんどテレサのヒモのような生活をしていたらしい が、彼と一緒にいることで幸せであったのならいいんだけど。 もし、天安門事件がなかったらテレサ・テンにはこう少し違った人生が あったかもしれないと思うとちょっと切ない。自分で作った歌を歌いたい と思っていた願いも叶ったかもしれないものね。 中国国内での民主化運動に共鳴して開催されたコンサートでテレサ・テン が歌った「私の家は山の向こう」の日本語訳を以下に掲載する。この歌 を歌ったのは1回だけだそうだ。 私の家は山の向こう そこには豊かな森があり そこには果てしない草原がある 春には稲や麦の種を播き 秋には刈り取り新年を待つ 張おじさんは愁いなく 李おばさんはどこまでも楽天的 ヤオトンから狸鼠が出てきてからは 全てがすっかり様変わり それは深々と埋もれていた白骨を喰らい 人間的な善良を毒とした 私の家は山の向こう 張おじさんは喜びを失い 李おばさんは笑顔をしまいこんだ 鳥は暖かな巣を飛び立ち 春は冷え冷えとした冬へと変わった 親しい友らは自由を失い 麗しい団欒を捨て去った 友よ一時の歓楽を貪るなかれ 友よ一時の安逸を貪るなかれ できるだけ早く帰って 民主の火を燃やそうよ 私たちの育った所を忘れちゃいけない それは山の向こう 山の向こうなの

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2016/02/19

付属の音源が貴重。なんとも複雑な気持ちになる。普段の商業ベースと無関係、という点ではまさに彼女が自発的に歌いたい歌であったのだろうが、亡くなる前に彼女が構想を練っていた音楽はどんなものだったのだろうな、聴きたかったな、と思う。

Posted by ブクログ

2014/06/09

05年テレサの没後10年の年に出版された本が文庫化されていたので再読。 10年かけて、没後から遡るように丁寧になされた取材と調査に基づいていて 著者からの理解と愛情が感じられる。 前半では、どちらかというとおしとやかなイメージのあったテレサの 案外率直でサバサバ...

05年テレサの没後10年の年に出版された本が文庫化されていたので再読。 10年かけて、没後から遡るように丁寧になされた取材と調査に基づいていて 著者からの理解と愛情が感じられる。 前半では、どちらかというとおしとやかなイメージのあったテレサの 案外率直でサバサバした物言いから 歌手という華やかな表の顔だけの人ではなく 一人の自分の考えと意見を持つ 大人の女性であるテレサが浮かび上がってくる。 ただこの本は読んで行けば行くほど、後半にかけて徐々につらくなっていく それは一つの出来事から、徐々に自分を見失っていた時期の 姿も書かれているからかもしれないし、結末の分かっている小説を 読んでいるようなやり切れなさがまだ 何処かにあるからかもしれない。 人の一生にどういうものであれ判断を下せる言葉などないのだけれど その最後はどうして寂しく感じてしまう。 一人異国で生涯を終えた、という事よりも 歌手になりたくて生涯を歌っていたい、歌うことだけは止められない と願っていた人が歌手として大きな存在になればなるほど 様々な事情に翻弄され、疲れてしまい、やがては歌えないと言うようになり そしてそのまま逝ってしまった事がとても寂しい事に思えたから。 個人的な考えだけれど テレサの心の中にあったのではないかとずっと思っていた のは「まだ見ぬ故郷の美しさ」だった。 だからあんなにも場所を問わず人の心に 歌声は浸透したのではないかと思っていた。 それは現実に生まれ育った台湾を想う気持ちとは また別のものとして、あったのじゃないだろうかと 訪れたこともない国を故郷、と呼ぶのは日本にはあまり 馴染みの無い考え方かもしれないけれど 外省人として台湾に渡った第2世代という背景や、今よりもずっと遠かった 両岸という事情に、尚更夢は美しく理想化されていたのかもしれないと ずっと思っていたのだけれど。 その美し過ぎた夢故になのかどうかは私には分からない。 ただ確かにテレサの中に存在していただろう 「理想の一つ」がうち砕かれた時に どれほどテレサが心傷付き、全てに背を向けたくなったのかという 想いを追いかけて、心に寄りそうようにして 丹念に書かれている本だけれど 心情を慮り過ぎているわけではなく 本文中にも書かれているけれど、これは著者とテレサの約束でもあり 没後に流れた報道に対する、冷静に事実を積み重ねた反論でもあったので だからテレサを取り巻いていた様々な現実的な問題や、 人間としての強さも弱さもハッキリと感じられるのが つらいことでもあるけれど 読んで後味の悪さはない。 ただもうどのような理由にも何者からも囚われることなく 静かに眠るテレサに 安らぎがあってほしいと思うだけだ。 そして歌を聴き続けよう。 テレサが日本語で歌っていた「香港~Hong Kong~」という曲について テレサ自信も強い思い入れがあったようだ、 と書かれていた事も印象に残った。 個人的にとても好きな曲なのだけれど、とても切ない切ない曲だし あの歌に込められた想いがあったなら それは余計切ない話でもあるのだけれど。 でもテレサの歌には、どんなに切ない曲にでも どこかに必ず人を慰める優しさがあった。 それは単純に自分の想い一色で歌を聴かせようとしない テレサ・テンという歌手の 才能であり優しさだったのかもしれない。 本書のタイトルでもあり 単行本版の特別付録になっている 「私の家は山の向こう」~我的家在山的那一邊~ 1989年5月27日 香港ハッピーヴァレー競馬場での音源 が「テレサ・テン メモリアルベスト-永遠の歌姫-」 というベスト版に収録されている。 文庫だけで読まれたという方も あのテレサ・テンという一人の女性の 切実な思いと、願いの込められた歌声を 機会があったらぜひ聴いていただきたいと思う。

Posted by ブクログ

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