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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | G.B./G.B. |
発売年月日 | 2006/11/27 |
JAN | 9784901841535 |
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商品レビュー
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坂口安吾は鯨を撃つ銛のような批評だ。ぐさぐさと脳と体に容赦なく差し込まれてくる。しかも急所に。この本の途中で出てくる小林秀雄は僕にとっては良く切れる刺身包丁のようなもので、切られても切られた本人はよく分かってないようなものである(つまり、なんとなく正しいと思えるけどよくわかんない...
坂口安吾は鯨を撃つ銛のような批評だ。ぐさぐさと脳と体に容赦なく差し込まれてくる。しかも急所に。この本の途中で出てくる小林秀雄は僕にとっては良く切れる刺身包丁のようなもので、切られても切られた本人はよく分かってないようなものである(つまり、なんとなく正しいと思えるけどよくわかんない) この著書を通じて、ひたすら坂口は「自分で考えること、行動すること」を説き続ける。形式美に惑わされずに本質を考えろと。それは自分で実際に見て感じなくてはわからないものであり、その上で、自分を貫け(堕ちろ)と。人間の弱さゆえに堕ちるにたらない脆弱さを跳ね返す強さを持てと。 無頼は、今、不遜のような使い方になっているが、著者にとっては頼るものが無い、ということなのだろうか。人間の欲望は「死にたくない」に尽きると言い(これがワンピースのロビンの「生きたい!」と真逆の表現なのだが)、それゆえにしがみつく姿を美しいと言い、伝統や文化は守るのではなく、本質は変わっていくべきだと言い切る力強さ、その一方、孤独を恐れ、ただそれなしに生きること、文学を書くことができない、己に悲嘆にくれながら、それでも生きていく。それは自虐ではなく、諧謔でもない。全てが彼の本音なのだろう。 曖昧な日本語を嫌いながら、その表現の自由さに可能性を見出し、答えが見つからないと吐露するその姿こそが彼の人間臭さなのだろうと思う。 第二次世界大戦が終わってすぐに、グローバル化を先見し、原子力のこれ以上の必要性を否定し、右左翼も少数化するという彼の予言的、預言的(このような言葉遊びは彼は嫌うだろうが)能力は、天が神の才能を凡人の人形に吹き込んでしまったいたずらなのかもしれない。 長々と書いてしまったが、自分にとっては今更ながら、自分の人生を自分で生きる覚悟が少しできた、ずっと持っておきたい一冊だ。
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