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族長の秋 他6篇
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社/新潮社 |
発売年月日 | 2007/04/25 |
JAN | 9784105090128 |
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族長の秋 他6篇
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商品レビュー
4.1
18件のお客様レビュー
6本の短篇を含むが、メインは表題作「族長の秋」。 290ページ弱に渡るボリュームなので通常の書籍なら1冊分であろうが、全集の1分冊なので、お得感ある構成。 『百年の孤独』の文庫版巻末に、筒井康隆が激賞し、激しくお勧めしてくる本作。 とある小国の独裁者である大統領が思うがままに権...
6本の短篇を含むが、メインは表題作「族長の秋」。 290ページ弱に渡るボリュームなので通常の書籍なら1冊分であろうが、全集の1分冊なので、お得感ある構成。 『百年の孤独』の文庫版巻末に、筒井康隆が激賞し、激しくお勧めしてくる本作。 とある小国の独裁者である大統領が思うがままに権力をふりかざし濫用しそして息をするように人を殺す。 驚くほどの長寿で、永遠とも思える時間権力の座につき傍若無人に振る舞う。 まだ比較的若いときは、しっかりとした認識のもとで残虐性を発揮し、心身が衰えてきた後は、衰えたなりに都合の良い解釈をしながらやはり残虐性を発揮する。 とにかく人が死ぬ。 それだけの物語と言っても過言ではない。 それだけの物語なのだが、本作、相当クセがある。 「百年」も若干クセがあったがそれでもかなり読みやすかった。 一方の本作のクセは、若干どころではない。 まずすぐに気がつくのは、段落がほとんどない。 一つの段落だけで100ページ近く、一息に綴られる。だいぶ辛い。 そして、その猛烈に長い一段落の中で、視点と時制がぐるぐる回る。 その上、固有名詞よりも人称代名詞が多用されるため、誰の視点で綴られているのかがわからなくなる。 さらにもう一つ。本作を決定的に特徴付けているのが、句点「。」の代わりに読点「、」を使っている部分が多くあるため、文の切れ目がわからなくなる。 本当に読みにくい。 読むのに、相当の集中力を必要とする。 半ページでも流し読みしようものなら、もう何の話をしているのかわからなくなる。 これは私の解釈なのだが、これは、永遠とも思える長い時間権力の座についた大統領が死ぬ間際に見た「夢」のようなニュアンスを出したかったのではないだろうか。 常夏の小国、燦々と降り注ぐ太陽の昼下がり。 すべてが寝静まったかのような静かな空間で、ハンモックに揺られながら涅槃にさしかかろうとしている残虐な大統領が見ている「夢」みたいなイメージをもつと、上記のクセがなんとなく理解できるのだ。 すべてが曖昧。すべてが夢うつつ。 本当に読むの辛かった。大変だった。 でもね、面白いんだ。 とにかく人を殺す。女性を襲う。ひどい。 でもこれがガルシア=マルケスの文章に乗ると、憎めない。 コミカルで、ユーモアがあり非常に人間らしく、憎めない。 ユーモアのある文章というのは、この作家の一つの特徴だと思うけど、本作ではその才能を隅々まで堪能できる。 さっきも書いたけど、一文でも読み飛ばすと置いてけぼりを食うけど、その一文一文は読み飛ばすのが勿体ないくらい詩的で楽しい。 読み終わるまで相当時間がかかることは覚悟して。 その上で、少しずつでもじっくり吟味していったら、この作品の素晴らしさがわかると思う。
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何度も読んでいる、大好きすぎる小説。 百年の孤独文庫版の、筒井康隆先生の解説のなかで、百年の孤独の次はこの小説を読めと勧めている。 この小説の一番面白いであろう箇所、ロドリゴ=デ=アギラル将軍の最期については、その解説のなかでは触れられてない。ネタバレせずに、読んだ人に強烈にたま...
何度も読んでいる、大好きすぎる小説。 百年の孤独文庫版の、筒井康隆先生の解説のなかで、百年の孤独の次はこの小説を読めと勧めている。 この小説の一番面白いであろう箇所、ロドリゴ=デ=アギラル将軍の最期については、その解説のなかでは触れられてない。ネタバレせずに、読んだ人に強烈にたまげてほしい、という筒井康隆先生の想いがあるんやと思う。
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芸術には、“すごい”という“好き”とは別のものさしがたしかに存在する。ガルシア=マルケスはわたしのなかで間違いなく“すごい”作家だ。“上手い”とはまた違う、スポーツで言ったら“強い”に当たるだろうか。“力”のある作品、それが“すごさ”だ。 この本に収められた作品でも、長ければ長い...
芸術には、“すごい”という“好き”とは別のものさしがたしかに存在する。ガルシア=マルケスはわたしのなかで間違いなく“すごい”作家だ。“上手い”とはまた違う、スポーツで言ったら“強い”に当たるだろうか。“力”のある作品、それが“すごさ”だ。 この本に収められた作品でも、長ければ長いほど“すごさ”がある(短編はすべて長編「族長の秋」のための筆慣らしだったと解説にはあるが)。ガルシア=マルケスが構成"力"に秀でていることの現れだろう。ガルシア=マルケスといえばその語り口、文章力も取り上げられがちだ。しかし文章力は構成力を通じて迫ってくる。 ガルシア=マルケスといえば「百年の孤独」であり、「百年の孤独」の構成といえば連綿と続く、ときに読者を逃してしまうようなものだ。しかし、「族長の秋」は複雑なようでとてもシンプルである。物語はつねに死体から始まる、そしてほぼ時系列順に彼の周囲の者が現れる。1人にスポットを当てた効果だろう。(風と「はい、お祖母ちゃん」が繰り返される中編「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」の構成はその中間にあると言える。)
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