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逃げてゆく愛 新潮文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社/新潮社 |
| 発売年月日 | 2007/02/01 |
| JAN | 9784102007129 |
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逃げてゆく愛
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商品レビュー
3.6
17件のお客様レビュー
短編集。ドイツの歴史が絡んでいる一部の作品は共感するのが難しい部分もあったけど、しみじみと読めた作品もあった。 私は中年男性じゃないので中年男性の孤独についてはよくわからない。でも、中年男性の孤独って、こんなオシャレに表現できるのか!って思った。みっともないミジメでルーザーな感じ...
短編集。ドイツの歴史が絡んでいる一部の作品は共感するのが難しい部分もあったけど、しみじみと読めた作品もあった。 私は中年男性じゃないので中年男性の孤独についてはよくわからない。でも、中年男性の孤独って、こんなオシャレに表現できるのか!って思った。みっともないミジメでルーザーな感じに状況としてはいるんだけど、それを著者が表現するような客観的な冷静な言葉で表現されると、なんだか主人公のおぢ達が、カッコイイ、イケオジな感じに見えてしまった。 私も中年の孤独に陥ったら自分をかっこよく客観視してみればいいのかもと思った。
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男女の愛の物語もある。 家族ぐるみの友情の物語も。 でも、やっぱり戦後のドイツの抱える傷跡が、その痛みが、どうしても強く前に出てくる。 特に「割礼」 ひとりの人間としてであって恋に落ちた二人が、互いの家族と会い、故郷を訪れ、社会的な付き合いを深めるとともに生まれる、互いのバック...
男女の愛の物語もある。 家族ぐるみの友情の物語も。 でも、やっぱり戦後のドイツの抱える傷跡が、その痛みが、どうしても強く前に出てくる。 特に「割礼」 ひとりの人間としてであって恋に落ちた二人が、互いの家族と会い、故郷を訪れ、社会的な付き合いを深めるとともに生まれる、互いのバックボーンへの不信感。 ドイツ人がユダヤ人にしたことは許されることではないが、それは、今僕が責められなければならないことなのだろうか。 彼女の悪気のない一言が、彼を息苦しくさせていく。 彼女を失わないために彼がした決断と、その結末に唖然。 亡くなった妻の、自分が知らない一面を探る「もう一人の男」 自分勝手で、3人の女性の間でうまいことやっていると思っていた男が、すべてを捨てようとした時に忽然と浮かび上がる女のサイドの物語が怖ろしい「甘豌豆」 確かに二人の間の愛情が消えたことを知りながら生活を続け、再び愛が生まれることがあるのだろうか。やり直すとしたら、どこからなのだろう。「ガソリンスタンドの女」 ひとつの人生を、違う角度から見た時の落差が冷徹で、いいわけが許されない。 愛情の、愛が無くなったらそこで関係が終わってしまうのが欧米の夫婦観だとしたら、愛が無くなっても情で繋がることができてしまうのが日本人なのかと思ったり。 そう思っているのが私の方だけだとしたら、結構困ったことになるなと思ったり。
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短編集。「朗読者」以来、私にとっては二冊目のシュリンク。 海外の文学を読む時に残念に思うのは、文化土壌や歴史背景を著者と共有できないことだ。特に、過去の歴史が現在に生きる人々の感情にも強く尾を引いているような作品の場合、私は著者の書いた文字以上には理解していないように思う。 シ...
短編集。「朗読者」以来、私にとっては二冊目のシュリンク。 海外の文学を読む時に残念に思うのは、文化土壌や歴史背景を著者と共有できないことだ。特に、過去の歴史が現在に生きる人々の感情にも強く尾を引いているような作品の場合、私は著者の書いた文字以上には理解していないように思う。 シュリンクの作品は、読みながら主人公が「ドイツ人」であるということを強く意識させられるものが多い。以前読んだ「朗読者」は勿論のこと、この短編集に収められている「トカゲと少女」「割礼」「脱線」もそうだ。多分、これらの作品は、ドイツ人ではない私と、ドイツの人々とではそもそも感じるものが全く違うのだと思う。 ただそれでも、彼の作品全体に漂う、何ともいえないもの悲しい雰囲気にとても惹かれる。非常に理性的で感情を露わにしていない落ちついた筆致なのに、だからこそ言いようのない切なさを感じるというか。 しかし今回、気に入ったのは上記作品ではなく、「もう一人の男」「甘豌豆」。 「甘豌豆」は最後思わず笑ってしまった。男性の目から見たらまた違う感想かもしれないな。
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