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夕萩心中 光文社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 光文社/光文社 |
発売年月日 | 2007/06/11 |
JAN | 9784334742676 |
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夕萩心中
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商品レビュー
3.8
15件のお客様レビュー
期待していた連城三紀彦さんらしさを味わい、そして今までの連城三紀彦さんのイメージを覆される……。まったく正反対の感覚を味わった一冊でした。 収録作品は6編。個人的に連城作品のイメージと言えば、美しい叙情的な文章。レトロなロマン漂う作品の時代設定。恋情と哀感の交差するストーリー。...
期待していた連城三紀彦さんらしさを味わい、そして今までの連城三紀彦さんのイメージを覆される……。まったく正反対の感覚を味わった一冊でした。 収録作品は6編。個人的に連城作品のイメージと言えば、美しい叙情的な文章。レトロなロマン漂う作品の時代設定。恋情と哀感の交差するストーリー。そしてミステリの切れ味となってくるけれど、前半の3編がまさにそのイメージ通りの作品。 それもそのはずで、最初に収録されている「花緋文字」、表題作の「夕荻心中」、そして「菊の塵」は、同著者の名作『戻り川心中』の系譜を継いでいます。 「戻り川心中」収録の5編とこの「夕荻心中」の3編は、一冊に納められていた版もあるらしく、これらは総称して花葬シリーズと呼ばれています。 そう考えると、作品の雰囲気の近さにも納得できるし、耽美な作風や色香を漂わせる文章も素晴らしいの一言に尽きる。 特に「花緋文字」はミステリとして読み終えたときの衝撃もすさまじかった。うかつに他の作品の名前を出すとネタバレになるから書けないけど、昔読んだある傑作を彷彿とさせる。 美しさの中に隠された悪意が一気に噴出したときの、クラクラする感覚。そしてその悪意すらも、黒ずんでいるけれども、美しく思わせてしまう。そんな作品の雰囲気にも酔いました。 後半に収録されているのが「ひだまり課事件簿」という連作短編。大手新聞社の中で閑職に追いやられたひだまり課の面々が活躍するユーモアミステリです。 前半に収録されている花葬シリーズとの落差がすさまじい(笑) 連城三紀彦さんってこういう作品もあったのか、とちょっと意外な気持ちになります。 キャラクターたちのとぼけた会話や個性、ストーリーの雰囲気など、出来が悪いわけではないけれど、前半と後半の作品のテンションが違いすぎて、ちょっと波に乗れませんでした。描写や会話も今の時代から見ると、ちょっと古くささが目についてしまった部分があります。 ひだまり課が悪いというわけではないけれど、花葬シリーズを一冊でまとめて読んでいたとしたら、その時の感動と衝撃はとんでもないものだっただろうな、とも思ってしまいました。
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“花葬”シリーズの三作品は読者をうっちゃることに精魂を傾けたような出来で、そのためのネタ振りでしかない、前段部分の完成度が異様に高すぎることに、もはや笑ってしまう。結局ネタばらし部分で底が抜けてしまうだけの話を、よくもまあここまで彫琢できるものだ。職人芸の世界だけれど、オチの仕掛...
“花葬”シリーズの三作品は読者をうっちゃることに精魂を傾けたような出来で、そのためのネタ振りでしかない、前段部分の完成度が異様に高すぎることに、もはや笑ってしまう。結局ネタばらし部分で底が抜けてしまうだけの話を、よくもまあここまで彫琢できるものだ。職人芸の世界だけれど、オチの仕掛けそのものは多少強引な感じが否めないようにも思う。多分、オチの鮮やかさは二の次なんでしょうね。
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表題作を含む<花葬>シリーズの三篇に連作短編<陽だまり課事件簿>を併録した復刻版。同じシリーズとはいえ「戻り川心中」に収録された五篇とは少々毛色が異なる印象。この三篇が収録されなかった理由もその辺りにありそうだ。私怨の政治的利用という表題作の傾向は長編作の「敗北への凱旋」に受け継...
表題作を含む<花葬>シリーズの三篇に連作短編<陽だまり課事件簿>を併録した復刻版。同じシリーズとはいえ「戻り川心中」に収録された五篇とは少々毛色が異なる印象。この三篇が収録されなかった理由もその辺りにありそうだ。私怨の政治的利用という表題作の傾向は長編作の「敗北への凱旋」に受け継がれているが、歴史や国家といった大義的な飛躍をすると、個人の人間ドラマが置き去りになってしまうので、私はあまり好きになれない。物語のスケール感が小さかろうが、連城氏の艶やかでしっとりした文体は【個の情念】にこそ適している気がする。
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