丸ごと韓国骨董ばなし

尾久彰三【著】, 大屋孝雄【写真】

• 販売会社／発売会社: バジリコ/バジリコ
• 発売年月日: 2006/12/22
• JAN: 9784862380357

商品レビュー

2010/09/05

日本民藝館主任学芸員という経歴を持つ、蒐集家にして文筆家の尾久彰三氏の著作です。
日本のうつわ/やきものを知るためには、半島の古陶磁を学ばないわけにはいかぬ！というわけで読んでみました。
尾久さんの著作はこれが初めてですが、予想以上に読みやすかったです。
いや、日本民藝館学芸員なんていうから、てっきり白洲正子とか柳宗悦とかそういう、一癖も二癖もある目利きさんのような文章かと思いきや…
（こんな形容は失礼にあたるかもしれませんが）なんだか、「ただの骨董オタクのおじさん」が酒を呑みしな自慢の一品を眺めて悦に入っている、そんな雰囲気で、読んでて思わずニヤニヤしてしまいました。
もちろん、尾久先生は「ただの骨董オタクのおじさん」などではありませんから、本の中に登場する品々とそれらにまつわるエピソードは、日本と韓国（朝鮮）の関係について深く考えさせられたり、あるいは単に「ええわ～この白磁角瓶ええわ～こんなん欲しいわ～」という実にオタク的発想を喚起させる見事なものであったり、とにかく良い本でした。
尾久先生は本当に、韓国（朝鮮）の骨董が大好きで、ただただ自分の好きなものを世の中に広く紹介して、自分以外の大勢の人にも好きになってもらいたいのだろうなあ、と、そう感じました。
それにしても、尾久先生はじめ日本の好事家が「これは李朝」と言い張るものを、韓国の陶磁の偉い先生が「これは日帝時代」とことごとく断じているエピソードに笑った。
まあ真実はどうだか知りませんが、日本人はちょっと李朝に夢を抱きすぎ、韓国人は日帝時代を（良くも悪くも）過大評価しすぎてるってことかも？