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こたつ女 ノベル倶楽部
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 日本文学館/日本文学館 |
発売年月日 | 2007/03/01 |
JAN | 9784776513087 |
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こたつ女
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霜月サンデーの【こたつ女】を読んだ。 霜月サンデー。ご存知だろうか?こう聞いてしまえば、ほとんどの方が知らないと思うが、これから長い 時間をかけて「霜月サンデー」という作家を知ることになるだろう予感がした。 ※霜月サンデーは現在、ペンネームを「栗原ちあき」に変え、活動中。 ...
霜月サンデーの【こたつ女】を読んだ。 霜月サンデー。ご存知だろうか?こう聞いてしまえば、ほとんどの方が知らないと思うが、これから長い 時間をかけて「霜月サンデー」という作家を知ることになるだろう予感がした。 ※霜月サンデーは現在、ペンネームを「栗原ちあき」に変え、活動中。 なんだか、変な言い回しだが、こういうことである。 著者のサンデーさんは、ブログを通じて知り合った方なのだ。 作家を目指しているという共通点もあり、ブログに遊びに行っていたら小説を出版するという記事が あった。それがこの【こたつ女】である。 ブログのお友達という観点を抜きにして、作家「霜月サンデー」を読んで見た。率直に語ろうと思う。 読んでいて感じたこと。文章に脂が乗っている。変な表現かもしれないが誉め言葉である。 さっぱりしすぎて味気ない文章はただの1行もない。ときにはくどいくらい脂が乗っている。繰り返され る比喩表現や、登場人物の心理描写が実に見事で「細部までこだわってるな」と実感させられる。 内容も話がポンポンと飛んでいるようで、実はそうではなくしっかりとしたひとつのラインの上で繋がっ ているのだ。 特筆すべきは繰り返される言葉使いや独特の比喩表現だろう。先にも書いたがそれは時にはくどいくらい 繰り返される。だが、この「くどさ」というものは、じつはとても大切な要素であって、作家の一種の個 性でもある。僕はこういう文章を書く作家が嫌いではない。ところどころで「ん?」と思う場面やセリフ があるのもたしかではあるが、悪い意味ではない。逆を言うと「ん?」と思わせなければ作品に深みが出 ないと思うのだ。そういった意味でこの【こたつ女】はひとつの作品としておおいに完成されていると感 じた。 作家の個性を象徴するかのような文章がある。以下本文より抜粋。 「僕の心の中は憂鬱な気分だけでいっぱいだったのだ。まるで、大学ノートの見開きいっぱいに、欄外も 含めていっぱいに、『憂鬱』という文字が米粒に書き込む字くらいの小ささでぎっしり書かれてあるかの ように・・・」 米粒くらいの文字で欄外を含めていっぱいにである。どれだけ憂鬱なのか、と思わず心配になる。この一 文の中に個性がある。僕が書くとすれば、 「まるで、大学ノートの見開きいっぱいに、それも欄外にも収まりきらないほど大きな文字で『憂鬱』と だけ何ページにも渡って書かかれてあるかのように・・・」 と書くかもしれない。こういったひとつひとつの表現に作家は自分のこだわりで言葉を埋めていくのだ。 サンデー氏が細かい人で僕が豪快な人、という意味ではない。性格の問題ではなく、どうしたらこの主人 公の気持ちや環境がより伝わるだろうか、という試行錯誤のもとで言葉を選び取っていくのだ。その引き 出しが多ければ多いほど作家としては武器になる。この1冊を読んだかぎり、霜月サンデーという作家は 時には細かく、時には大胆にと多くの引き出しを持っているように感じれられた。 主人公の山辺君の仲間で、リュウジたちとのシーンは石田衣良の【4TEEN】を髣髴させる友情物語だ。 こたつ女と主人公の関わりかたや会話なども設定場面が実に巧妙で上手い。 総体的に主人公の大学生の男という視点から、人間の孤独や葛藤などをアンチテーゼチックに提議しつ つ、こたつ女という媒体を通して、人間個々のアイデンティティを投げかけるといったプロットも(違っ たらごめんなさい)小説の魅力を引き立てている大きな要素であると思う。 ただひとつ注文をつけるならば会話の部分をもう少し工夫してもよかったのではないかと感じた。言葉使 いが「放たれた言葉」として自然にこちらに届かない気がしないでもない。ドラマの台本を読んでいるよ うな言い回しに感じられる箇所もあった。 最後になぜこんな否定をするかというと、理由は2つ。ひとつは、自費出版だろうがなんだろうが、僕は 「霜月サンデー」という人を作家と認め、【こたつ女】という作品を作家・霜月サンデーの作品と認識し たからである。作家は常に批評されるべきであり、されなければ作家とは呼べないと思う。 もうひとつの理由は(こちらのほうが強い理由だが)ただ単にライバル心である(笑)僕より上のステー ジにいる作家・霜月サンデーに負けたくないというライバル心と焼きもち(笑)。それだけだ。 それはさておき、十二分に楽しめる作品であったことには間違いない。 新鋭作家・霜月サンデー。次回作が楽しみである。
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