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ティモレオン センチメンタル・ジャーニー 中公文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社/中央公論新社 |
発売年月日 | 2006/04/21 |
JAN | 9784122046825 |
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ティモレオン
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ティモレオン
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商品レビュー
4.3
15件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これはまたなんともイギリスらしい、昏い可笑しみと少しの哀しみに縁どられた話だ。 まず、タイトルのティモレオン、正式な名前はティモレオン・ヴィエッタは、飼い犬の名前だ。 だが、彼女はほとんどストーリーにかかわらない。 彼女がいようといまいと、世の中は変わらず回っていく。 そして副題のセンチメンタル・ジャーニーも、大いなる皮肉と言える。 彼女の飼い主・コウクロフトは、若かりし頃はイギリスで人気の音楽家で、とある不祥事からイタリアに移ってからは文芸評論家と言われていた。 が、今は雑種犬とともに、世間から忘れられた生活を送る。 たまに入る印税、たまに訪れては去っていく恋人。 そんな時、何かに追われているボスニア人が彼の家にやってくる。 コウクロフトは決してボスニア人のことを好きではないが、寂しさに負けて同居させることにする。 しかし、ボスニア人とティモレオン・ヴィエッタは、互いに敵意をむき出しにして、相容れることはなかった。 読んでいて何度も、「本当に自分にとって大事なものは何か、思い出せ」とコウクロフトに念を送っていたのに、とうとうコウクロフトはティモレオン・ヴィエッタを捨てることに同意する。 これが第一章の話。 第二章は、ティモレオン・ヴィエッタがコウクロフトのもとに帰るまでの旅路…をちょっとかすった人たちの人生。 これもまたことごとく苦い。 何かが欠落した人たちが、さらにマイナス方向へと向かう人生。 ところがこれらが、読みごたえがあって面白い。 好きでも何でもないボスニア人のため、寂しい時にいつも寄り添ってくれたティモレオン・ヴィエッタを捨てる決意をするコウクロフト。 それほど、孤独はつらいということなのだろうけれど、結局酒浸りの毎日を送る羽目になったのだから、彼の決意は幸せも安寧ももたらさなかったんだよなあ。 もし私に日本語タイトルをつける権利があったら、『ティモレオン』なんてタイトルではなく『ああ無情』ってつけるね。 不条理というほど不条理ではないけれど、無情だなあって思いましたから。
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「少女の瞳のように愛らしい目をもつ」雑種犬のティモレオン。年老いた音楽家のコウクロフトとの穏やかな日々は、ある日突然終わりをつげ、野に放たれる。 愛する飼い主のもとに戻るため、旅するティモレオンは、行く先々で誰かの人生の1ページに立ち会うこととなる。 イタリアを舞台に、こっぴ...
「少女の瞳のように愛らしい目をもつ」雑種犬のティモレオン。年老いた音楽家のコウクロフトとの穏やかな日々は、ある日突然終わりをつげ、野に放たれる。 愛する飼い主のもとに戻るため、旅するティモレオンは、行く先々で誰かの人生の1ページに立ち会うこととなる。 イタリアを舞台に、こっぴどい失恋をしたイギリス人の少女や、母親を失った中国人の幼女、奇跡のようなラブストーリーではなく己の人生を選ぶ聾唖の娘、それぞれの哀しみを抱えた印象的な物語が繰り広げられる。 そしてそのどこかに、それぞれに名付けられたティモレオンがいる。 そもそもコウクロフトのもとにさまよってたどり着いたティモレオンは、それ以前にまた誰かにとっての別の何かであったことであろう。 おとぎ話のようで、皮肉で、残酷。 ラストシーンのとびっきりの甘さと、グロテスクさ。 江国さんの解説もとても良い。
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良い小説だったけど…予想してたけど…最後が辛すぎ(涙)。 淋しさのあまりに大事なともだちを裏切るような愚かさには年をとっても陥りたくないものです。
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