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二十一世紀の資本主義論 ちくま学芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房/筑摩書房 |
発売年月日 | 2006/07/10 |
JAN | 9784480089984 |
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二十一世紀の資本主義論
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15件のお客様レビュー
https://calil.jp/book/4480863249 筑摩書房(2000-03-01)の文庫化
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本書は著者が80年代、90年代に書き下ろした論文集(エッセイ含む)を一冊の本にしたもので、私は文庫版を手に取りました。その意味では20年以上前に書かれている論文がほとんどですが、多くの面で現在への示唆に富んでいると思いました。まず本書の中でメインの論文が本のタイトルにもなっている...
本書は著者が80年代、90年代に書き下ろした論文集(エッセイ含む)を一冊の本にしたもので、私は文庫版を手に取りました。その意味では20年以上前に書かれている論文がほとんどですが、多くの面で現在への示唆に富んでいると思いました。まず本書の中でメインの論文が本のタイトルにもなっている「二十一世紀の資本主義論」です。岩井氏は、金融危機、経済危機が資本主義を終わらせるのではない、むしろ1997年のアジア通貨危機は基軸通貨であるドルへの信認を逆に高めたと言うことで資本主義を強化したと解釈されていて、資本主義が終焉するとしたらそれは貨幣への信認がなくなった時であると述べています(つまりハイパーインフレーション)。また面白かったのは、資本主義が「純化」すればするほど資本主義の不安定性が増す、つまり貨幣の制御ができなくなるということで、さてこれからの資本主義は再び国家の介入が増えざるを得ないのか、言い換えれば不純化されるのか、という点も興味がわいてきました。また一貫して述べられている、資本主義の本質は差異であるということ。これは産業資本主義だけでなくはるか昔から存在している商人資本主義など資本主義を大きく俯瞰すれば当然それが正しい解釈と言うことになるのだと思います。 2番目には「インターネット資本主義と電子貨幣」という論文が掲載されています。こちらも興味深く読みましたが、こちらについては不遜な言い方ですが、2017年時点のデジタル化の状況を踏まえると著者の論調は「まだまだ見通しが浅い」のではないかと感じました。岩井氏は、インターネットもこれまでと同じ資本主義内の動きであって、電子貨幣はむしろ資本主義の純化を証明していると論じています。私もこれについては同意できるのですが、もし岩井氏が現在起こりつつあるシェアエコと呼ばれる動きを見たらどう評価するのかは興味があります。ただしシェアエコとよばれるものも、大半は貨幣と遊休資産へのアクセスを交換するという点で、既存の資本主義の枠内で起こっている現象だとは思うのですが、IoTのように貨幣を介さない情報シェアリングが価値を生み出す仕組みが登場したり、貨幣を全く介さないデジタルコモンズ上でのネットワーク型物々交換の仕組みが登場しているなど、資本主義とは言えない仕組みすらデジタルは生み出している気配があります(つまり貨幣を必要としない仕組みがデジタルで生み出されている)。その意味で、デジタルは資本主義を強化する一方で資本主義を解体する力も持っているのではないかと個人的には考えています。 いずれにせよ、本書は2017年に読んでも多くの気づきが得られる本で、とても感銘を受けました。オススメです。
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30年ほど前の内容であるので情報が少々古いが、本書に収録される「二十一世紀の資本主義論」と「インターネット資本主義と電子貨幣」は今読んでも色あせない。現在、米ドルを基軸通貨とするグローバル市場経済であるが、今世紀において最も危惧するべきなのが米ドルのハイパーインフレーションであ...
30年ほど前の内容であるので情報が少々古いが、本書に収録される「二十一世紀の資本主義論」と「インターネット資本主義と電子貨幣」は今読んでも色あせない。現在、米ドルを基軸通貨とするグローバル市場経済であるが、今世紀において最も危惧するべきなのが米ドルのハイパーインフレーションであると著者は主張する。ドルの過剰な供給が始まったとき、覇権国家としてのアメリカは凋落するであろう。
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