レーサーの死

黒井尚志【著】

• 販売会社／発売会社: 双葉社/双葉社
• 発売年月日: 2006/04/25
• JAN: 9784575298918

商品レビュー

2011/10/08

モータースポーツの華やかさの影には
多くの血が流されてきた事も
隠しようの無い事実。

そんな多くの“柱”の中から

アイルトン・セナの死亡事故報道の現場
福沢幸雄裁判問題
川合稔と小川ローザ
30度バンク・鈴木誠一と風戸裕
夭折の天才・高橋徹と苦労人・小河等

この五つのストーリーから綴られています。

それぞれが“その時”に向かって
どのように突き進んでいったのか！？
折り重なった偶然が、たった一つの必然に。
そんな人の運命の辻道を垣間見る事の出来る一冊です。

2011/04/19

例えばF1では、94年のセナ以来、死亡事故は起きていない。
安全対策が進められたことはもちろんだが、それまでには多くの才能あるレーサーたちが壮絶な死を遂げている。
セナの事故については当時生中継していたフジテレビ、三宅アナ、当時の新人で今のＦ1担当である塩原アナ、川井一仁、今宮純など日本のＦ1を伝えている人々の動きが書かれていてとても興味深い。
富士スピードウェイの封じられた30度バンクの惨劇、トヨタ7など、レースの大衆化＆ハイパワー化の時代に亡くなったレーサーたちの死に様は、当時の時代背景だけで片付けられないものである。

2010/06/25

アイルトン･セナ1994.5.1，ローランド・ラッツェンバーガー1994.4.30，福沢幸雄1969.2.12，川合稔1970.8.26，鈴木誠一1974.6.2，風戸裕1974.6.2，高橋徹1983.10.23，小河等1992.5.24……スピードに賭け、サーキットを翔け、その短い生涯をも駆け抜けた幾人ものレーシング・ドライバーたち。

いつか誰の上にも訪れるであろうその瞬間はなぜ、あの時の彼らにもたらされたのだろうか――？

1974年に起きた富士スピードウェイでの事故、そのコース建設にまつわる混迷の成り立ちと様々な曲折の末に深く強固に醸成されていった悲劇のあらましが、30年の歳月を経て関係者の重く閉ざされた口から語られる。

真実を究明しないままにすべてをドライバーの責任とし、遺族に莫大な慰謝料を積み上げて事件を闇へと葬り去る大企業。レースや車に関する知識を何ら持たないまま事件を判じる法曹界の人々。無責任な記事で世間を沸かせるマスコミ、それに押されて動く警察と世間。
頂点への見果てぬ夢。その瞬間まで、多くの人々に伝承される魂と技術。彼らを待つのは幸福を意味する「幸せ」ではなく、運命を意味する「仕合せ」な死。
その死と対峙しながら自らの宿命へと向かって走り続けた人々の記憶を、家族、友人、関係者の証言をもとに綴る鎮魂の一冊。