インクルージョンをめざす教育 学校と社会の変革を見すえて

鈴木文治【著】

• 販売会社／発売会社: 明石書店/明石書店
• 発売年月日: 2006/07/10
• JAN: 9784750323626

商品レビュー

2013/03/25

私は読書が好きなので、読むのは早い方だと思っている。
しかし、この本は読み始めて４週間目に入った。

私の読書法には３つの種類がある。
１　何が書いてあるかを知るための読書。
２　楽しむための読書。
３　本の内容を心の中に叩き込むための読書。

最初は単に内容に興味を持ち読み始めたのだが、著者の考え方、生き方に共感を覚えてしまい、さらりと読み流すことができなくなってしまったのだ。この本も　１　から　３に変わった。

　統合教育や共習の必要性が叫ばれ、世の中はその方向に進みつつある。しかし、作者はそれらを更に拡げた「インクルージョン」の必要性を説く。
　インクルージョンとは、様々なニーズのある人々と手を取り合って一緒に生きる社会の実現をめざす理念である。「
障害児教育の現場、管理者、教育行政それぞれ全ての現場を体験し、地域ではキリスト教会の伝道師として様々な障害・差別を受けている人々に係わっててきた人でしかか言えない真実の声がある。

　「インクルージョン」

この言葉は、著者の鈴木氏が語ってこそ初めて輝きを放つ。

　この本での提言を実行するには、相当な決意、熱意が必要だ。現実問題として、現場の教師がどれだけこれに応えることができるかは、疑問だ。しかし、「個別化」「個性化」等々、今叫ばれている教育の課題は、既にずっと以前から障害児教育には取り入れられており、それらを真摯に取り入れた教師はめざましい成果をあげている。

P289にある著者の次の言葉が　私の心に鋭く突き刺さる。

「私は今日の教育の混乱の要因は、障害児教育への軽視とも考えている。障害児教育は一人一人を大切にする教育である。このことを学んでこなかった教育は、崩壊の危機に立たされている」