核大国化する日本 平和利用と核武装論 平凡社新書

鈴木真奈美【著】

• 販売会社／発売会社: 平凡社/平凡社
• 発売年月日: 2006/08/09
• JAN: 9784582853360

商品レビュー

2012/05/27

現在日本で「原発」に関する本はいくらでもあるが、それが本質的に「核兵器」と同じものだという観点から書かれた本は少ない。つまり、日本では、軍事利用としては「核」、平和利用としては「原子力」ということばを使っていて、両者がまるで別物のような印象を人々に与えているが、英語でも同じだし、中国語でも原発は「核電站」で、本質は同じである。本書では、「原料と技術が基本的には同じ」という観点から「核」ということばを多用する。日本がなぜ核サイクルにこだわり、危険と言われる、ウランとプルトリウムを混ぜたMOX燃料を使おうとしているのか、原子力先進国がすでに９０年代に放棄した、「プルトリウム燃料サイクル」に今もこだわり続けるかも本書を読めばよく分かるし、北朝鮮が国民の生活も顧みず核開発を進める理由もわかってくる。「核拡散防止条約」やその加盟国間の問題についても、新書でこれだけ詳しく書いた本はないだろう。原発問題を考えることは、とりもなおさず核兵器のことを考えることだということがよくわかる。本書は2006年に出ていて、本屋さんでもおいてないところが多いが、原発の本と並んでぜひ置いてほしい本である。ちなみにぼくはネットでとりよせた。

2011/05/24

企画コーナー「今、原発を考える時」（2Fカウンター前）にて展示中です。どうぞご覧下さい。
貸出利用は本学在学生および教職員に限られます。【展示期間：2011/5/23-7/31】

湘南OPAC　：　http://sopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1501733

2010/07/01

［　内容　］
「核の平和利用」を進めるうちに、今や日本は「非核兵器国」で最大の核施設・核物質保有国となり、ＩＡＥＡによる核査察では最重要国のひとつとなっている。
さらに二〇〇六年三月、六ヶ所村の核燃料再処理工場がプルトニウムを取り出す試運転に入った。
その一方、北朝鮮に触発されて、核武装論も台頭し始めている。
原発、核燃料サイクル、核兵器―次世代への責任として、核の利用の再考を促す。

［　目次　］
第１章　日本は「非核兵器国」を選択した（核武装論の台頭　国際法による制約　ほか）第２章　「核燃料サイクル」のキーワード（元素の誕生　原子　ほか）
第３章　「核拡散」のキーワード（核爆弾　核実験　ほか）
第４章　核兵器保有国の増殖（国際法上の「核兵器国」　核物質と核技術の拡散　ほか）第５章　プルトニウム大国・日本（日本の「核燃料サイクル」開発　六ヶ所核燃料サイクル施設　ほか）

［　ＰＯＰ　］

［　おすすめ度　］

☆☆☆☆☆☆☆　おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆　文章
☆☆☆☆☆☆☆　ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆　メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆　冒険性
☆☆☆☆☆☆☆　読後の個人的な満足度
共感度（空振り三振・一部・参った！）
読書の速度（時間がかかった・普通・一気に読んだ）

［　関連図書　］

［　参考となる書評　］