名機YS-11 零戦から生まれた国産旅客機 だいわ文庫

前間孝則【著】

• 販売会社／発売会社: 大和書房/大和書房
• 発売年月日: 2006/09/09
• JAN: 9784479300502

商品レビュー

2022/10/31

戦後日本初の、そして22年現在唯一の国産旅客機YS-11を題材に、主に機体開発後の政治に翻弄される様、エアラインとともに旅客機として熟成されていく過程を描いた本。

したがって、タイトルにある"零戦から生まれた～"は、一応つながりの描写はあるものの、とってつけたような感じも受ける。日本の工業史としてはエポックメイキングな存在も、販売的には成功しなかった機体だけに、筆者の語るスタンスも今一つ定まらず、読んでいてスムーズに入ってこない。

最期に希望とともに語られる三菱ジェットの開発も、混迷の果てに凍結された今、日本の政治、航空工業界はYS-11の教訓を生かせず、何も進歩することがなかったのだと言うしかないのだろうか。

2012/08/29

　この本を読んでいて思い出したのだが、私が初めて搭乗した飛行機がYS-11だった。プロペラが大きいことと、客室内でも会話に差支える程度のエンジン音が聞こえていたことを覚えている。
　YS-11は、民間旅客機設計のノウハウ不足、顧客要望を聞く姿勢の欠如、高コスト体質、販売・部品供給に対する無知など多数のマイナス要因があったものの、文中にもあったとおり、機材の納入開始後のエアライン側の協力とメーカ技術者たちの努力によって「名機と呼ばれるまでに成熟していった」ことがうががえる。
　YS-11からかなりの期間が空いてしまったが、現在開発が進んでいる三菱リージョナルジェットやホンダジェットなどの国産旅客機にYS-11の「経験に基づく遺産」が少しでも活かされ、これらの飛行機が名機としてはばたけることを期待したい。

2011/08/26

現時点での最初で最後の国産民間輸送機YS-11を
巡る備忘録的な本です。

この本を読むと戦前戦後を分けるのがいかにおかしいことかや物事を進める上で「戦略はおおざっぱに、戦術は
具体的に」進めることや最初のTargetが大事かを
思い知らされます。

ちなみに飛行機をみてパイロットになりたいと
思う本当の気持ちは、選ばれた人間しか衝動しないですよね。