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乳房論 乳房をめぐる欲望の社会史 ちくま学芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房/筑摩書房 |
発売年月日 | 2005/01/10 |
JAN | 9784480088932 |
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乳房論
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「乳房は誰のものか?」著者のマリリン・ヤロームは問う。 乳房は誰のものなのでしょう。 エフェソスから出土したアルテミスの像の胸部の多数の球状のふくらみは、生贄にした雄牛の睾丸であるとか、ナツメヤシの実であるなど樣々な説はあるにしても、総括的な意味で視覚的に多乳房は、繁栄や豊作を想...
「乳房は誰のものか?」著者のマリリン・ヤロームは問う。 乳房は誰のものなのでしょう。 エフェソスから出土したアルテミスの像の胸部の多数の球状のふくらみは、生贄にした雄牛の睾丸であるとか、ナツメヤシの実であるなど樣々な説はあるにしても、総括的な意味で視覚的に多乳房は、繁栄や豊作を想起する。 アルテミス 一方、ギリシア神話における天の川起源は、乳汁で、人間との間に生ませたヘラクレスを不死にするために、ゼウスは赤子のヘラクレスにヘラの乳を飲ませる。また夫のゼウスはよそで女性を作った上に、その子に自分の乳を含ませるなどと激怒したヘラはヘラクレスを荒々しく引き離し、そのこぼれた乳汁が天の川になった。 聖なる乳房、すなわちマリアが乳房を露わにしてイエスに授乳している絵が描かれはじめたのは、14世紀で、著者のヤロームは、食糧不足がフィレンツェを荒廃させた時期とちょうど重なっていることが関係しているのかもしれないと指摘している。 その後、フィレンツェではルネッサンスが花咲き、その後も授乳する聖母子像は描かれ続けることになる。 三世紀にシシリーで殉教した聖アガタは、神に身を捧げる敬虔な娘で、求婚を拒み、売春宿に連れて行かれた。彼女を墮落させようと拷問を加えたが屈しないので、乳房を切り取った。その乳房は聖ペテロの力で元通りになったとされるが尚拷問を加えられ殉死したといわれる。スルバランの描くアガタは切り取られた乳房を皿の上にのせ、涼しげに首を傾ける。形の良い乳房は白くやわらかそうである。 半衣でフランス国旗を高々と掲げ市民を先導する彼女は、ジャンヌ・ダルクを回顧させるようで、ナポレオン失脚後の王位復権も安定をみないフランスに明るい光を差し込ませるような印象を受ける。ドラクロワの描いたこの絵は、ルーブルの数多くの絵画の中でも一際目を引く。 ウジューヌ・ドラクロワ 『民衆を導く自由の女神』 第二次世界大戦末期のパリで、有名なフランスの歌手のアンヌ・シャペルが、車の上に飛び乗ってブラウスの前をはだけ、素敵な乳房をドラクロワの自由の女神のように見せて国歌を朗々と歌いあげたそうで、フランス共和国を表す乳房をあらわにした女神に「マリアンヌ」という名前がついたそうだ。他国も女神を国の紋章として使ったりしたが、マリアンヌのように乳房を露出することはない。 本書は、乳房に特徴づけられる神話、神、聖女、事物、歴史などをピックアップし、医学的乳房や心理的乳房、商品化される乳房など多樣な角度から乳房の分析を試みている。 嬰児は、生まれてすぐ顔を左右にむけて乳房を探すような仕草をする。 腕に抱けば、自分で乳首をとらえ、舌の上に乳首をのせて吸啜する。 乳と呼ばれる白い液体が、嬰児をどんどん成長させてゆき、授乳という行為が心が満たされることであることに驚く。 自分の体内で10ヶ月育み、産み、乳房で繋がっていた我が子は、離乳すれば、その乳で養育されることもなく、乳房の絶対的必然期間はそれほど長くない。 乳房は女性を象徴するものであり、ある時は、非常にエロティックな意味合いを持ち、ある時は、聖なる命の源となるものであり、ある時は、病巣になって命を奪う器官になる。 乳房は一体誰のものなのだろう。 それは女の一生のなかで変化するもの ではないか、、、、 そしてやはり乳房は、その人のものである。
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人の乳房に関する話をまとめた本。ただし欧米限定。後に出版された様々な乳房本で引用されるだけあって、神話における乳房から乳癌までと、対象となる話は幅広い。乳房学の入門書としてふさわしい。 面白いと思ったのは、西洋では性的な乳房と授乳の乳房が分かれていた時期があったということ。上流...
人の乳房に関する話をまとめた本。ただし欧米限定。後に出版された様々な乳房本で引用されるだけあって、神話における乳房から乳癌までと、対象となる話は幅広い。乳房学の入門書としてふさわしい。 面白いと思ったのは、西洋では性的な乳房と授乳の乳房が分かれていた時期があったということ。上流階級においては授乳は乳母にやらせるものであって、奥方が行うべき行為では無かったのだ。 それが母乳であるべきという考え方が広まると、今度は母乳を通じて乳母の下賤な血が赤子に入るのでよろしくない、なんて説が出て来る。乳のあるべき姿は時代によって異なる。
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[ 内容 ] 女性の乳房は、さまざまな意味を与えられてきた。 乳幼児を養うもの、男性によって愛撫されるもの、芸術家にインスピレーションを与えるもの、法規制によって隠蔽を義務付けられるもの、そして女性自身のもの。 それは、乳房を所有しているのは誰なのか、という問題にも直結してくる。...
[ 内容 ] 女性の乳房は、さまざまな意味を与えられてきた。 乳幼児を養うもの、男性によって愛撫されるもの、芸術家にインスピレーションを与えるもの、法規制によって隠蔽を義務付けられるもの、そして女性自身のもの。 それは、乳房を所有しているのは誰なのか、という問題にも直結してくる。 各種の社会体制や欲望の対象になってきた乳房を、古代から現代にいたるまで総覧する文化史。 図版多数。 [ 目次 ] 序章 移り変わる意味 第1章 聖なる乳房―女神、女神官、聖書に登場する女性、聖女、聖母 第2章 エロティックな乳房―「天空の形をした球」 第3章 家庭的な乳房―オランダの間奏曲 第4章 政治的な乳房―国家のための乳房 第5章 精神分析学上の乳房―注目される体 第6章 商品化された乳房―コルセットからサイバー・セックスまで 第7章 医学的乳房―命を与えるものと命を破壊するもの 第8章 解放された乳房―政治、詩、そして絵画 第9章 危機にある乳房 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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