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国語教科書の戦後史 シリーズ言葉と社会4
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 勁草書房/勁草書房 |
発売年月日 | 2006/05/15 |
JAN | 9784326199303 |
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国語教科書の戦後史
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国語教科書の戦後史
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「われわれは、理想と情熱をもってこの本を作りました」。戦後すぐの国語教科書の冒頭には、編集者によるこんな一文がよせられている。読むと、本当に面白い。こんなに「熱っぽい」教科書が、かつてあったのかとびっくりする。 様々なジャンルの文章が盛り込まれている国語教科書。もちろんそれらは...
「われわれは、理想と情熱をもってこの本を作りました」。戦後すぐの国語教科書の冒頭には、編集者によるこんな一文がよせられている。読むと、本当に面白い。こんなに「熱っぽい」教科書が、かつてあったのかとびっくりする。 様々なジャンルの文章が盛り込まれている国語教科書。もちろんそれらはすべて編集者の意図のもとに編まれていて、しかもその意図は時代の影響を受けている。とすれば、どのような時代の制約を、それぞれの教科書は受けてきたのか。本書は、それをコンパクトにまとめた著作である。 著者によると、国語教科書の戦後史はおおよそ次の区分に分かれる。 (1)近代的個人の確立期(40〜50年代) ・戦争の反省から近代的個人の確立が最重要課題とされた時期。 ・普遍的主体を獲得するための手段として文学が重要視される。 ・日本的近代の限界としての「私小説」と、普遍性にたどり着いた作家としての鴎外/漱石。 (2)企業社会(60〜80年代) ・「近代精神獲得史」としての文学史の退潮→文学が「個人の楽しみ」へ。 ・教育と経済の結びつき強まる→実用志向、論理的文章志向。 ・近代的価値観への懐疑→環境問題を扱う教材等。 (3)再帰的自己の形成期(80〜現代) ・ネオリベラルな政策による「自己責任」論が教育へ波及 ・規制緩和と自由化(選択授業化)、自己評価の重視 ・場や相手に「応じて」表現することを求める表現教育 以上のような、私たちの時代理解に沿った見通しのよい戦後史であり、それが本書の良いところでも不満なところでもある。良いところは、文学教材の退潮を、時代の変遷とともに説明しているところだろう。一方で、たとえば現在重視されている実用志向が戦後初期の教科書「言語篇」にも見られていることや、50年代に採録されはじめたいわゆる定番教材(「こころ」「舞姫」「山月記」「羅生門」)が現在も残っていることなどは、この歴史観では説明がつかない。 全体的に、「現代における戦後史理解の枠組み」に則ったオーソドックスな国語教科書史であり、実際には国語教科書の編集にはそれ以外の論理もかなり働いているはずだ。例えば、著者の歴史観によればとうに役割を終えているはずの定番教材が、それでもずっと残っているのは教師の多忙化を抜きにして語れないと思う。 個人的には、国語教科書の歴史を辿るにしてもそういう事情まで含めたアプローチのほうが面白いのではないかと思うのだが、そういう立場の違いを超えても、議論の土台になる良書であることは間違いない。国語の教員は読むべし、な一冊。理屈抜きにしても、戦後すぐの教科書の「熱っぽさ」はすごく面白い(し、振り返って今の教科書はなぜこんなにつまらんのかと考えるきっかけになる)ので、それだけでも一読の価値がある。
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