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王になろうとした男
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王になろうとした男

ジョンヒューストン【著】, 宮本高晴【訳】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 清流出版/清流出版
発売年月日 2006/04/18
JAN 9784860291532

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商品レビュー

5

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2013/03/08
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※このレビューにはネタバレを含みます

語るに値する男の人生があるとすれば、こういうものであろうか。『マルタの鷹』『黄金』『キー・ラーゴ』『アフリカの女王』『白鯨』『天地創造』と、多くの名画を監督した功績はあるものの、五度の結婚と離婚、借金してでも賭けずにいられない賭博癖、度を超した悪巫山戯と、あまり賞賛に値しない性癖を併せ持つ。しかし、どんな時も自分を見失わず、友人を信頼し、逃げずに立ち向かい危機的な状況にあっても余裕をもって事に当たる、その生き方を見ていると、見事な毛並みの虎や立派な牙を持った象を目の当たりにしたときのように、気持ちが晴れやかになり、楽しくなってくるのだ。 自分で計画を立てた針路に従って、地道に進んでいくというのも一つの生き方だが、出たとこ勝負、運が向いたときは大盤振る舞いで大散財、素寒貧の時は着た切り雀で何とかその日を食いつなぐというのもまた人生である。ジョン・ヒューストンの場合はまさしく後者。多くの友人に影響を受け、ある時はボクサーとしてリングに上がり、またあるときは未来派の影響を受けて画家修業という行き方。いつもその時は一生懸命だから周囲も協力を惜しまない。 ダリル・ザナックが「ヒューストンの成功や才能はうらやましくないが、友人の多さはねたましい」と語ったというが、登場する人物の顔ぶれが凄い。幼い頃体の弱かったジョン少年がチャーリー・チャップリンの見舞いを受けた話から始まって、映画関係を別にしても銃やボクシングの腕を競い合ったヘミングウェイ、アイルランドにあった館の常連だったスタインベック、脚本を共同で書いたトルーマン・カポーティー、それに何とあのサルトルまで、綺羅星のごとく並ぶ錚錚たる顔ぶれ。才能が人をひきつけるのか、人柄のせいか、自分で設計した山荘に、あのフランク・ロイド・ライトが見学に来て、素人にしては上出来と認め、自分の伝記が映画になるときはジョン・ヒューストンに監督を頼みたいと言ったとか。 人生の舞台となる場所のスケールが大きい。『アフリカの女王』を撮ったアフリカ各地。『黄金』のメキシコ、『王になろうとした男』のモロッコ、マラケシュ。ロケ地以外にも従軍監督として腕を振るったイタリア山岳地帯サン・ピエトロ、マハラジャに招待されて虎狩りをしたインド、と、この並外れた男には都会よりもサバンナやジャングルの方が似つかわしい。『アフリカの女王』のロケハンの時のエピソードが振るっている。食事調達に雇われたハンターがあるとき解雇された。どうやら彼が調達に歩いた辺りで行方不明者が後を絶たなかったらしい。この「長い豚」が供されたのが本隊が来る前でよかった、とヒューストンは語っている。 どんな苛酷な状況にあっても、自然が相手ならその危険な状況を楽しみながら対処するヒューストンだが、人間の悪意に対しては別だ。ハリウッドに吹き荒れた「赤狩り」の嵐に対しては、最後まで戦い抜いた一人として、当局に対しての怒りと仲間の監督たちの弱腰に対する落胆を隠さない。また撮影所システムが崩壊するにつれて、映画について何も知らないくせに金儲けのため干渉してくるエージェントが増えたことに業を煮やしている。 ただ、遅刻魔のマリリン・モンローや、薬物中毒のモンゴメリー・クリフト、脚本に口を出し勝手に科白を変えるポール・ムニなどの役者に対しては、その態度にはうんざりさせられながらも、才能は認めている。このあたりに、この人が友人に恵まれる秘密がありそうだ。ただ、何事にも例外はある。問題はあったが、いい映画になっていた『黒船』を勝手に編集し無惨な映画にしてしまったジョン・ウェインだけは許していない。 二度目の妻であったイブリンに、自分をとるかチンパンジーをとるかと迫られて、結局チンパンジーを棄てることができなかったというほどの無類の動物好きでありながら、アフリカでは象、インドでは虎、アイルランドではキツネを狩るというハンターでもある。一見矛盾しているようでいながら、動物に対する真剣な態度という点で通底しているような一途な性格は大きな子どものようで憎めない。 二段組み430頁という分量は半端ではない。しかし、まるで法螺話かと思うような奔放な語り口は、一度波に乗ると一気に読まされてしまう。奇しくもワイルダーと同年生まれのヒューストンは今年が生誕百年。ハリウッドの黄金期を駈け抜けた映画人として映画に掛ける思いが破天荒な人生の裏側に熱く脈打っている。1980年に出版された本がやっと邦訳されたわけだが、今読んでも抜群に面白い。映画好きなら見逃すことのできない一冊。

Posted by ブクログ

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