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近代とホロコースト
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近代とホロコースト

ジークムントバウマン【著】, 森田典正【訳】

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近代とホロコースト

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 大月書店/大月書店
発売年月日 2006/09/20
JAN 9784272430697

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商品レビュー

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2021/03/08

近代についても、ホロコーストについても、画期的な一冊である。 「近代」の本質は、「効率」への追求だと言える。それによって、人間同士が接し合う経験が分業や様々な括りで間接になっていく。自らの動きの端末に、どのような人がその影響をどう受けているのかを想像できなくなる。そういう意味で...

近代についても、ホロコーストについても、画期的な一冊である。 「近代」の本質は、「効率」への追求だと言える。それによって、人間同士が接し合う経験が分業や様々な括りで間接になっていく。自らの動きの端末に、どのような人がその影響をどう受けているのかを想像できなくなる。そういう意味では、ホロコーストの発生は、偶然ではなく、近代そのものを反映している。 今の私たちは、近代化を進めようとしているのか、それとも近代化を止めることができなくなっているのか。

Posted by ブクログ

2014/03/28
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※このレビューにはネタバレを含みます

ホロコーストは反ユダヤ主義だけでは起らなかった。近代的システムの合理化があったからこそ起きえた。 近代化の影が表出したのがホロコースト。その闇を解説する。    マックス・ヴェーバーの論じたプロ論を前提に知っておくのが大事。西欧近代化では、プロテスタンティズムの禁欲主義的思考の素養があったから、資本主義の合理的思考が根付いた。勤勉なプロテスタントは科学技術や官僚制の発展、呪術的な迷信の否定により、社会の合理化を進めた。  しかし、合理化の進んだ社会には陰りも見られる。ヴェーバーはこれも予想していたが、ホロコーストはその側面が表出した結果である。  合理化の負の側面。 ●社会が歯車的に動くようになって、人々のつながりが間接的になった。社会構造が高度になれば人々のつながりはさらに遠くなる。それによって、人々の道徳観念が行き届かなくなる。(※工場の生産向上によって公害が起きる。しかし、労働者は勤勉に働き道徳的罪悪感はない。このギャップが生まれる。) ●科学技術の発達で、思考の根拠に道徳観念が用いられにくくなる。専門家の理論に整合性があれば非道徳的な行為にも正義を感じるようになる。また、責任の所在が科学的根拠になるので、個人の責任感が薄れる。一人一人の情操が鈍る。  これらの負の側面をこの本では中和・分離・周辺化と表している。  近代のドイツでは官僚化が進み、非常に合理的な行動を国民が取れるようになった。これもナチの教育の成果だろうが。 ・ 社会の合理化によって人々の心の距離が遠くなった。その結果、自分の行為が他人にどのような影響を与えるか気づきにくくなった。これ道徳的衝動を中和(起こさせなく)するという。 ・ 産業の合理化によって人々の労働が高度に分業化された。その結果、自分の行為の結果を知ることが難しくなった。(※自分の作っている殺虫剤が何に使われているかはわからない。どこのガス室で撒かれているかはわからない。)これを自分の行動とその結果を分離(思考・感情・距離を遠ざける)するという。 ・ 科学技術の発展により、思考の根拠が科学的な方に偏る。その結果、自分の行動が自分以外のもの(科学)に決められるようになる。これを行為の意思決定を周辺化(責任を転嫁)するという。  さらにユダヤ人を非個人化・抽象的存在化することで分離化した。これにより道徳的感情の周辺化が成され、ホロコーストが完成した。  ホロコーストはこのように近代の合理主義的思考があったからこそ起きえた。また、合理主義的工場システムがあったからこれほどの人数の虐殺が行えたといえる。  ヴェーバーは西欧近代化の合理的精神は否定していない。むしろ称賛している。しかし、警鐘も鳴らしていた。そして、そのようになった。  現代社会もこの資本主義を継続している。つまり、合理主義の闇をいまだに抱えているのである。 「我々も歴史を繰り返す可能性を十分に持っている。」  日本の原発問題も完全にこれだ。科学過信の責任の周辺化。都市で消費するエネルギーを生み出すリスクは地方に押し付ける、リスクの分離化。マジョリティの生活向上実現という道徳感情の中和。 __  近代化はホロコーストの十分条件ではないが、必要条件になりうる。  反ユダヤ主義はホロコーストの契機の一つにすぎない。ホロコーストは近代化の抱える矛盾が表出するべくして顕れたに過ぎないのだ。近代化の…恐怖!! __  訳者あとがきで興味深い記述が多い。素晴らしい。 ●ホロコーストの共同的記憶とその表象にかかわる現象(ホロコースト関連の研究や書き物の出始め)の特異性はその直後には起らず、20年たった1970年代にはじまったことと、ホロコーストの生還者が多いヨーロッパではなく、アメリカで起ったことである。これは裏を返せば、ホロコースト後から20年間アメリカでこの事実が沈黙されたということでもある。 ●バウマンはジェノサイドを近代特有の産物としているが、20世紀に起きたジェノサイドには中国、カンボジア、東ティモール、ルワンダもある。これらの国家は西洋以外にあり、近代国家とは言えないものだった。彼はここでも近代化の理論を持ち込むのだろうか。

Posted by ブクログ

2013/04/28

ホロコーストはまさにユダア人の悲劇であった。ホロコーストは近代合理社会の中で文明が高い段階に達した社会、文明、文化の問題である。自然治癒されることはない。 反ユダヤ主義とホロコーストの関係以上に因果関係の明らかな関係は少ない。ヨーロッパのユダヤ人が殺されたのは殺害したドイツ人やそ...

ホロコーストはまさにユダア人の悲劇であった。ホロコーストは近代合理社会の中で文明が高い段階に達した社会、文明、文化の問題である。自然治癒されることはない。 反ユダヤ主義とホロコーストの関係以上に因果関係の明らかな関係は少ない。ヨーロッパのユダヤ人が殺されたのは殺害したドイツ人やその地区で殺害を幇助した人間がユダヤ人を憎んでいたからである。ホロコーストは数百年におよび宗教的、経済的、文化的、民族的憎悪の劇的クライマックスだった。 ユダヤ人の奴隷化はナチスの目的ではなかった。ナチスの当初の究極目標は大量殺人ではなく、ユダヤ人の完全除去、すなわちドイツ民族の生活圏からユダヤ人を効果的に排除することだった。 ナチス時代を専門とする歴史学者のあいだでは、ホロコーストの実行に不可欠だったのは、ユダヤ人に対するドイツ人の一般的敵意の動員ではなく、中和だったという共通認識が出来上がっている。 中和、分離、周辺化はナチス体制が近代産業、運輸、科学、官僚制度、技術を利用しながら成功させた。 ナチスが最も成功したのはユダヤ人の非個人化であった。

Posted by ブクログ

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