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マイノリティーの拳 世界チャンピオンの光と闇
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マイノリティーの拳 世界チャンピオンの光と闇

林壮一【著】

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マイノリティーの拳 世界チャンピオンの光と闇

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社/新潮社
発売年月日 2006/09/05
JAN 9784103019718

マイノリティーの拳

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商品レビュー

4.3

11件のお客様レビュー

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2017/08/20

「ボクシングは金持ちに務まる職業じゃない。命懸けの危険な ビジネスだからね。裕福な人間がグローブを嵌めるなんてのは ジョークさ」 貧困と差別に晒され、犯罪と隣り合わせという環境で育った 黒人の少年たちは拳ひとつでのし上がれるボクシングの 世界で頂点に君臨することを目指した。 ...

「ボクシングは金持ちに務まる職業じゃない。命懸けの危険な ビジネスだからね。裕福な人間がグローブを嵌めるなんてのは ジョークさ」 貧困と差別に晒され、犯罪と隣り合わせという環境で育った 黒人の少年たちは拳ひとつでのし上がれるボクシングの 世界で頂点に君臨することを目指した。 世界ヘビー級王者。最重量級の頂点を極めた王者であって も、アメリカン・ドリームを手にした後には厳しい現実と直面 せざるを得なかった。 本書は自身もプロテストに合格し、しかし、故障からプロボクシ ングの世界を断念した著者がアメリカに渡って元チャンピオン たちと交流しながら10年の歳月をかけて書き上げた、5人の王 者の「その後」の姿だ。 モハメド・アリとのキンシャサでの対戦から20年後。45歳で 世界王者に返り咲いたジョージ・フォアマン。何故、伝道師と なったフォアマンが45歳で復帰しなければならなかったのか。 彼の背負ったもの、自分の使命と考えることの懐の深さは 自身の生い立ちから来るものだった。 同じ指導者の元で育ったマイク・タイソンとホセ・トーレス。 タイソンにこそ取材が取材が出来ていないが、現役の頃 から引退後を考えて文筆修行をし始めたトーレスとタイソン の人生の対比と、弟弟子であるタイソンに対するトーレス の想いの深さにじんわりと来る。 何かと問題の多いプロモーター、ドン・キングを相手に訴訟 を起こしたティム・ウェザースプーン。シングル・ファーザー として5人の子供を育てる為にリングに上がり続けた彼は、 ボクサーであるより父であることに重きを置いていた。 ライアン・バークレーはチャンピオンになりながらも、サウス ブロンクスの狭い集合住宅で暮らし、45歳になっても生活 の為にリングに上がり続ける。 チャンピオンになったからと言って、その後の生活が保障される 訳ではない。フォアマンやトーレスのように「セカンド・チャンス」 を手に入れられる者の方が稀なのだろう。 厳しい現実に直面しながらも、彼らは必死に生きている。 そんな元チャンピオンに向ける著者の視線は、限りなく 温かい。そうして、ボクシングという競技に対する愛情も 溢れている。 いいノンフィクションを読ませてもらった。著者にお礼を言いたい。 尚、私は単行本を買ったまま積んでおいたのだが先日、文庫 で刊行されていた。

Posted by ブクログ

2016/12/23

アメリカでのビジネスとしてのボクシングを実感。豊かな才能、過酷なトレーニング全てが、必ずしも豊かさに繋がらない厳しい現実を実感しました。

Posted by ブクログ

2014/07/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ボクシングの世界を描くノンフィクションはいつも少し「切ない」感じがする。それはボクシングというスポーツが本質的には「殴り/殴られる」というスポーツであるということもあるし、おそらくボクサーのほとんどがまさしく「拳一つ」で這い上がってきたということもあるし、何より勝利と敗北だけでは動かない世界だというのがあると思う。例えば、テニスだった言ってみれば「ラケット一つ」で成りあがっていく世界なわけだが、それでもボクシングのような悲愴な感じを醸し出すような作品に出合ったことはない。 本書は米国のヘビー級を中心に、元黒人チャンピオンが引退後にどのような生活を送っているかを追ったノンフィクションである。日本でも今では「世界チャンピオンになっただけでは成功ではない」世界になってしまったが、層が厚い米国ではそれはもっと劇的な形で表れていて、元世界チャンピオンであってもスラムと大して変わらない世界で暮らしている人間もいる。 もちろんそういう状況になってしまう理由は本人も含めていろいろあるのだが、それでもファイトマネーという形で一瞬で大金が入ってきて(プロモーターにかなりとられてしまうのだが)、それをうまく扱うことができなくて、やがて堕ちていくというはなんとも切ない。 本書に出てくるボクサーは日本のボクサーたちよりもはるかに多くのマッチ数を戦っている(90戦近いボクサーもいる)。そうしてまで試合に出るのはまさしく「お金のために戦っている」から。 本書には繰り返しプロモーターの話が出てくるが、ボクシングは現代になっても剣闘士とマッチメイカーの世界なんだと強く感じざるをえない。華やかなのは剣闘士でも、最後に儲かるのはマッチメイカー(胴元)たち。それでも、そこには這い上がるための夢がある世界なんだ、というのもまた真実なのだと痛感させられるのが本書である。

Posted by ブクログ

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