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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | PHP研究所/PHP研究所 |
発売年月日 | 1998/08/04 |
JAN | 9784569601625 |
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表紙の写真だけで性格が正反対だと分かるのは何故か。 妹尾氏の代表作『少年H』は自分も昨夏読んだ。自分の受けた印象では、少年Hこと肇少年は自立心と(とにかく!)サバイバル能力が高かった。その見解はあながち間違いでもないようで、戦時中は生への執着が強かったとご本人も仰っている。 ...
表紙の写真だけで性格が正反対だと分かるのは何故か。 妹尾氏の代表作『少年H』は自分も昨夏読んだ。自分の受けた印象では、少年Hこと肇少年は自立心と(とにかく!)サバイバル能力が高かった。その見解はあながち間違いでもないようで、戦時中は生への執着が強かったとご本人も仰っている。 妹尾氏とは裏腹に野坂昭如氏は物静か。 著書の『火垂るの墓』『戦争童話集』は中学時代に学習した。その際野坂氏は童謡『おもちゃのチャチャチャ』の作詞者でもあることを知り、動揺したのは今でも忘れない。(「ドウヨウ」だけに…。失礼しました) 歌手もされていたのは知らなんだ。 生い立ちから死生観といったトピックを交互に口述していく形式。2人とも自分のターンが来た瞬間にはっきり物申したり、反論するところはされていて妙にヒヤヒヤした。(いくら同世代で気の置けない友人でもワードチョイスは慎重になるから…) 『少年H』は読んでいたが、出版に至るまでの裏話は初耳だった。ジャーナリストの立花隆氏らに、自分の話を「人ごと」とすることで事実を書けば良いと「小説化」を勧められたのがきっかけ。確かに一人称を少年Hに、物語を彼の日常生活にすることで若い世代にもストレートに伝わりやすいものになった。 一方で表紙の少年Aは、笑顔が愛らしく心優しい少年に思われる。実父の勝手な都合で1歳の頃養子に出され、小学4年生の時にその事実を知る。別段驚きはしなかったが、それ以来養家の前では"いい子"でいようと努められた。写真は小学校入学時だが、4年生以前から薄々違和感はあったという。そう思うと、この笑顔も何だか物悲しい。 性格や育った環境はさることながら、記憶の残り方まで違うのは(当然のことなんだが)不思議に思えた。 妹尾氏は腕時計の文字盤をじっくり見ていたおかげで、時刻表通りに列車の発車時刻を覚えているといった鮮明ぶり。(勿論同級生や新聞社にも調査はされていたが) 野坂氏の場合は空襲を機に生活が一変してしまったため、その頃の記憶が丸ごと「凍結されている」感じ。 覚えてはいらっしゃるが、生き生きとした記憶(昨日のことのように思い出せる)と冷凍保存された記憶(思い出せるがそれをただ上から眺めるだけ)とそれぞれ形が違う。漠然としたイメージで大変恐縮だが、何故かそれらが強く脳に焼き付いた。 本書は21世紀目前の’98年に刊行された。しかし「戦争をわかっていないのに知っているつもりになっている人」がいる現実は変わっていないと思う。 「昭和ヒトケタ(生まれ)」の性格も違うお2人には、戦争が「日常生活の延長線上にあった」。それは一体どういうものなのか。読んだつもりだった両氏の著書から読み直さない限り、「知っているつもり」からの逸脱は難しい気がする。
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