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最後の瞽女 小林ハル 光を求めた一〇五歳
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最後の瞽女 小林ハル 光を求めた一〇五歳

小林ハル, 川野楠己

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 日本放送出版協会/日本放送出版協会
発売年月日 2005/12/22
JAN 9784140810781

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2013/07/03

 瞽女の小林ハルさん一代記。  瞽女、という職業がありまして。盲目の女の人が村から村へと渡り歩いて三味線なんかで唄をうたってお金をもらう、いわゆる盲目の、女旅芸人のことであります。  北陸地方、幼い頃に白内障を患ったハルさんは瞽女になるという運命を決定づけられる。そもそも...

 瞽女の小林ハルさん一代記。  瞽女、という職業がありまして。盲目の女の人が村から村へと渡り歩いて三味線なんかで唄をうたってお金をもらう、いわゆる盲目の、女旅芸人のことであります。  北陸地方、幼い頃に白内障を患ったハルさんは瞽女になるという運命を決定づけられる。そもそもの筆者の本書を読もうてな動機は、この「生まれながらにその後の運命を決定づけられて、105歳まで生きた人」の思考回路が見たかった。あんがいとファンタジーでもなんでも、あるじゃない。「漁師の息子」でも「梨園の御曹司」でもいいけど、生まれた時から人生が決定されている人々。いわゆる現今一般の、職業選択の自由があるとされている人々の対極、極北に位置した人だ。  数少ない聞き書きを、うまいこと伝記としてまとめ上げた本、と書くのが一番正確な気がします。それだけ本文の量に比べて聞き書きの部分が少ないというのは引っかかるけれども、それでもまぁ、一代記ではある。  瞽女修行の苛酷さもわかる。女性だけの集団ゆえの掟の厳しさも垣間見える。そうして新潟三条から小国まで、盲目の女性だけで旅をして歩いた、犠牲者もいっぱい出た、と、この辺はうまくレリーフできています。さすがにそこは、瞽女研究、ひいては長年に渡るハルさんへのインタビューの集大成である。  んだが、この本だけ読んでいると、どうもその、瞽女が、江戸明治期の旅芸人と比較するとずいぶん恵まれているのではないかしらん、と思うのだった。江戸期、旅芸人とか医者とか、そういう士農工商の他にある人々が別途の待遇を受けていたのに対して、どうも瞽女さんというのは行く先々でけっこうな待遇を受けていたように読める。  村の男達は普通に夜這いにも来る。村人は家に泊めてやって、ちゃんと食事も出している。あきらかに、川端の『伊豆の踊子』的な旅芸人の待遇とは違うのです。  これは、なんだろう。  もし、NHKサイドによる職業差別への配慮だとしたら、ちょっと違うんじゃないか、と考える。江戸と越後で全く別の身分意識が働いていたとも考えにくいし……と、その辺がやにわに気になったので覚書程度に書いておく。  その一方、視覚障害者の人々の自由に関してはかなり綿密に書いている。やっぱりその……なんですなぁ。この辺の取捨に、国営放送の意識を感じてしまうのは、読み手側がうがち過ぎでしょうか。  うがち過ぎなんだと思います。うがち過ぎなのよ。  と、本書、ハルさんのことを書いているようで、あんまり本心がそこにはない気がするところがひっかかった、が、長年の取材の蓄積であることには間違いがない。  要はスポンサーの問題でありましょう。

Posted by ブクログ

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