ADDとADHD 症状をコントロールしよう 10代のメンタルヘルス10

ジュディスピーコック(著者), 上田勢子(訳者), 汐見稔幸, 田中千穂子

• 販売会社／発売会社: 大月書店/大月書店
• 発売年月日: 2005/02/18
• JAN: 9784272404872

商品レビュー

2014/02/02

発達障害を抱えて生まれた人には、社交のスキルと自尊感情に問題を持つ人が多い。

この本が出版された２００５年時点では、発達障害の原因は不明。いくつかの仮説はある。

・生物学的理由
　　　→脳の行動を司る部位への刺激不足、あるいは刺激の受容体　　　　の欠陥
　　　→遺伝
　　　→脳障害→外傷などによる損傷ではない。
　　　　　　　→脳の不規則な働き

発達障害者の脳のＣＴスキャンをしてみると…
　　…衝動、注意、多動を司る部位の活動が低い。
　　　→ブドウ糖（エネルギーの元になる糖分）が効果的に使われ　　　　ていない。
　　　→脳の特定の部位に血液が十分流れない。
　　　→神経伝達機能がうまくいっていない。神経細胞間の伝達を　　　　助ける脳内の化学物質が不足している。
　　　　これは、脳に刺激を与える薬で治療できる。

ＡＤＨＤの約半数は遺伝要因。誕生時、あるいはそのすぐ後に発症。

ＡＤＨＤと合併障害
　　→ＬＤ（学習障害）
　　→気分障害ーうつ病、躁鬱、極端な気分の移り変わり
　　→ＯＣＤ（強迫性障害）
　　　　　ー同じことを極端に何度も繰り返して考えたり、行った　　　　　　りする。
　　→不随運動障害

ＡＤＨＤの二次的な障害→仕事、勉強、人間関係が原因、きっかけとなる欝病

ＡＤＨＤは神経生物学的な障害。目や髪の色のようなもの。

ＡＤＨＤは、科学的な検査では発見できない。主にアメリカ心理学協会の定めた診断基準で診断する。

下記の質問で、６つ以上「はい」だったら、カウンセラーに相談しよう。
・自分は何もできないと思う。
・すぐにくじけて、自分をダメだと思う。
・感情的になりすぎたり、かんしゃくを起こしたりすることがある。
・宿題やテストで、不注意な間違いをたくさんするので、成績が良くない。
・家族や友だちや周囲の人に、話を聞いていないと言われることがある。
・いつも指で机をたたいたり、髪をぐるぐる指に巻き付けたり、部屋をウロウロ歩き回ったりしていると、人に言われたことがある。
・机やロッカーや自分の部屋が散らかっている。
・どんなにむずかしい課題でも、どれほどしめ切りがせまっていても、先延ばしにする。
・人の話を聞かないで、ぼんやりしていることがある。
・人の話に、途中で割り込むことがある。
・周囲の人に「おしゃべり」と言われる。
・テレビのチャンネルをひっきりなしに変える。
・説明書を飲んだり、説明を聞いたりする前に、なにかをやりはじめることがある。
・いくつかのことを同時にしなくてはならなくなると、頭が爆発しそうになる。
・この質問を順番に読むのが難しかった。

ＡＤＨＤの症状は、脳の神経伝達物質の不足によって引き起こされると考えられている。よって、治療薬としては、刺激剤や抗うつ剤が用いられる。

ＡＤＨＤの治療→・薬物治療
　　　　　　　　・行動調整
　　　　　　　　・カウンセリング
　　　　　　　　・スキルトレーニング
　　　　　　　　・コーチング

・薬物治療
刺激剤には、神経伝達物質（ノリピネフリン、ドーパミン）の持続性を高める作用がある。主な薬は、メチルフェニデート、リタリン、デクセドリン、サイラート、アデラル。
メリットは、症状をコントロールしやすくなること。ただし、頻繁に飲む必要がある。
食欲不振、不眠、頭痛、動きや気分が悪くなるなどの副作用がある。

抗うつ剤は、刺激剤に効果がない時や、刺激剤を用いた時に対処しきれない副作用が起きた時に用いられる。イミプラミン。
メリットは、薬剤の効き目が長いので、頻繁に薬を服用する必要がないこと。ただし、刺激剤ほど発達障害の症状に対する効き目がない。

バイオフィードバック→脳波のパターンを自分で変える訓練

ＡＤＨＤの人の中には字をきちんと書けない人もいる。

ＡＤＨＤ関連の団体

ＡＤＨＤの障害を生まれもった人の半数以上が大人になっても症状を持ち続けている。その場合、その症状は生涯続く。
ただし、症状が緩やかになることもある。
ＡＤＨＤを抱える成人は、たいてい症状に対応する方法を身につけている。