緊急招集 地下鉄サリン、救急医は見た

奥村徹(著者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社/河出書房新社
• 発売年月日: 1999/02/15
• JAN: 9784309012698

商品レビュー

2013/10/13

地下鉄サリン事件に当事者（医療現場）として、その時の様子を克明に描かれていて衝撃的。マスコミなどではあまり語られない、医療現場の状況や二次被害、収容の問題などが浮き彫りにされている。当事者だからこそわかるマスコミの報道の在り方のメリット・デメリット、救急搬送の混乱が分かるのは良かった。後半に進むにしたがって、医療、マスコミ、救急の対応、政治などへの提言が中心となり、まるで半分論文を読んでいるよう。本書の提言をそういった関係者が読んで、何かしらの対策を取ることはあるのか・・・と考えると少し残念な気持ちになった。振り返って自分ができることは何かを考えさせられた。

2011/07/28

4309012698 　221ｐ　1999・2・15　初版
〇地下鉄サリン事件から見えた日本での危機管理の拙さ・不味さが著者の経験を元に書かれている。
外国と照らし合わせた日本の姿が貧弱なのがわかったけどショックだなあ。
医療関係者は必ず読んでほしい。まったく無関係でも個人で学べる事例がたくさんあることも◎。

2010/06/12

地下鉄サリン事件の時，著者は聖路加國際病院の救急外来に勤務しておりこの災害に直面します。そこでの災害との関わりのドキュメント。更には日本の危機管理の問題点の洗い出し，対策の提言を行っています。

　私が印象に残った部分；
　●文中に日本の危機管理能力のなさを嘆く言葉があちこちに出て来ます。私には日本の政治家が望んでいる国連安保理の常任理事国入りを引き合いに出した以下のくだりがとても強烈でした。

「自国の危機管理能力もないのに，他国の危機を管理する能力があるとはとても思えない。国際社会の中で，先ずは自らの危機管理能力を高めることは何よりも自国民のためであり，ひいては国際社会に通用できる調停能力の向上にも繋がるものである。もはやそこまで考えると日本の危機管理能力の向上は国際的責務であるともいえよう。」

　災害ボランティアで有名な「国境なき医師団」の関係者によれば「日本は災害に関しては国際的援助を受けるべき国」なのだそうです。そんな国が安保理の常任理事国になりたいとは，ヘソが茶を沸かしますね。