午前0時の怪奇夜話 恐怖体験者たちの消えない悪夢 青春BEST文庫

怪奇ゾーン特報班(編者)

• 販売会社／発売会社: 青春出版社/青春出版社
• 発売年月日: 1997/07/01
• JAN: 9784413083416

商品レビュー

2022/03/20

1993年から2002年に青春BEST文庫から怪奇ゾーン特報班名義で発表された13の怪談集の７作目。1997年作品。

前作までは、一応は怪奇体験談集の体裁になっていましたが、今作は不思議体験を題材にした掌編小説集という雰囲気になりました。

目次は次のページのクレジットに、前作まで数作は「協力　風工房」とあったのが、今作では「協力　ガーデン」とあるので、執筆チームが前作までとは一新されたのだと思われます。

怪奇体験談の枠を外した自由な作風で、怪奇体験も、ありがちな心霊スポットや曰く付き物件などではなく、多岐にわたる怪奇体験が描かれています。

特に印象的な作品は４編ありました。
事件の調書のような体裁で書かれた、村里にある夜に人の死を知らせに訪れた見知らぬ男を描いた「赤鬼」。
国籍不明の女性が池袋の路上で保護され、唯一彼女とコミュニケーションがとれる日本人である入国審議官が、その女から日本に来た理由を聞かされる「異邦の女」。
女性と話をすることが苦手な男が、すでに死んでいた女とプリクラを撮ってしまうという、恐ろしくも切なくなる「プリクラ」。
甲子園初出場まであと一勝という試合での９回裏の手に汗握る展開の中で、相手校を押さえようとしながらも女性関係でのトラブルに心揺れるピッチャーを描いた「マウンドからの風景」。

小説だとすると、アマチュア作的な凡作も多い作品集でしたが、この４編は光輝いていたと思います。

2011/01/04

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