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17歳のこころ その闇と病理 NHKブックス974
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 日本放送出版協会/ |
発売年月日 | 2003/07/28 |
JAN | 9784140019740 |
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17歳のこころ
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2000年に相次いだ17歳少年による殺傷事件(豊川主婦殺害事件、佐賀バスジャック事件、岡山の母親殺害、新宿ビデオ店爆破)と、16歳による山口の母親殺し、15歳による一家6人殺傷事件を元に少年の心に潜む闇、そしてそれを作り出す社会の病理について分析している本です。いじめ、不登校、ひ...
2000年に相次いだ17歳少年による殺傷事件(豊川主婦殺害事件、佐賀バスジャック事件、岡山の母親殺害、新宿ビデオ店爆破)と、16歳による山口の母親殺し、15歳による一家6人殺傷事件を元に少年の心に潜む闇、そしてそれを作り出す社会の病理について分析している本です。いじめ、不登校、ひきこもり、ネットやケータイといった問題にも説明されています。 それぞれの事件については私は当時小学生ということであまり詳しく覚えていなかったのですが、犯行の動機やその計画性などにはぞっとさせられました。例えば豊川の事件の犯人である少年は、知に対する好奇心が過剰に旺盛で、「何事も人に聞いただけとか本で読んだだけではだめで、経験して初めて理解することができる」といって殺人を「経験」するため犯罪を犯すことになる。 どの事件にもぞっとしたことはぞっとしたけれど、だからといって少年たちを罰せばいいのかというとそうではない。(もちろん私が被害者の家族であればそう思ったかもしれないけど)2000年のあいついだ少年犯罪の結果厳罰化がおこなわれたけど、それでは解決しない。なぜならこれらの凶悪犯罪を犯した少年たちは自分のしていることが社会で認められないということをしっかりと認識していて、その上で犯罪を犯している。また最近あるらしいけども、逮捕されて死刑になりたいがために人を殺すというケースを考えれば厳罰化がむしろ犯罪を加速する可能性もないとはいえない。 こんなことをいってはきりがないかもしれないけど、犯罪者を犯罪者にしてしまうのはその人をとりまく環境である。そしてそんな環境を作り出しているのは日本に蔓延する病理であると思う。 ではこの日本で乱発する少年犯罪や凶悪犯罪を減らすにはどうすればいいのか。 筆者は近年の攻撃性の暴発傾向の原因を、①少子化(→過保護、自己愛的万能感にしがみつきやすくなる→それが壊れた時に爆発する)②象徴的な「父性」の欠如(→母子一体化幻想が切断されない、自己愛的万能感の肥大を「禁止」できない)③母子密着(母性が子どもを飲み込んでしまい、いつまでも自己愛的万能感にしがみつく原因となる)としている。 そして、本書の終盤で、象徴的次元の構造変化の中で、象徴的な「去勢」を受け入れやすい教育、社会システムを構築していることが解決の道であると述べている。 本書の中でも述べられていた通り、最近は学校の中でも平等主義が過度に重視されたり、少子化の中で大事に育てられる子どもは親の期待が大きく、万能の自己感を捨てる機会がない。だからこそ自分の可能性の限界が見えた時や誰かに否定された時に過度に傷つくようになっているらしい。その時に攻撃性が爆発し性衝動とも相まって、極端な時には犯罪というところにいきつく、というのが今の精神科学の考え方らしい。 自分も属しているから「最近の子どもはキレやすい」といわれてもなかなかピンとこなかったけど、この本を読んでみれば何故そういうことになったのかということや、どういう社会の構造がそうさせているのかということが見えてきた。そして、この本を読むきっかけになったことでもあるけど、私自身も小説などにでてくるどこか”心に傷を負った”少年や本書に載っていた犯罪少年に惹かれたりどこか共鳴するというのはやはり色んな意味で私も”イマドキの若者”なんだなと思った。 少年犯罪も含め日本社会に蔓延するあらゆる問題を生み出す社会の構造自体にもっと目を向けたい。
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