ぼんぞうののぞきだま みんなで絵本2

たかどのほうこ(著者), 佐野洋子

• 販売会社／発売会社: ポプラ社
• 発売年月日: 2002/01/28
• JAN: 9784591070727

商品レビュー

2023/12/04

たださんの本棚から図書館予約
たかどのほうこさんの温かい文と
さのようこさんの（温かさを秘めた）強烈な絵
ぐいぐい引き込まれます

こそどろのたぬき　ぼんぞう
村の動物たちのおおらかさが救います
そして占い師へ
すてきなのぞきだまだね

≪　さがしもの　みつけてあげる　のぞきだま　≫

2023/11/17

　たかどのほうこ(高楼方子)さんの、この作品(2002年)は、さのようこ(佐野洋子)さんの絵によるものであり、そこには、文も絵もほうこさんによる『まあちゃん』シリーズとは異なる趣旨であることが分かるような、明確な意図を感じられた。

　物語は、たぬきの｢ぼんぞう｣が、本当はコソ泥であることから始まり、普段はそれをごまかすために、｢うらない　けんきゅうじょ｣という看板を出して、外から見えるように、わざと窓の辺りに｢のぞきだま｣を置き、それをのぞきこんでは｢ううむ…｣と唸ってみせる事で、通りかかった動物たちは皆、いつか占ってもらおうと楽しみにしていた。

　そんなある日、ぼんぞうは、コソ泥や占い研究家の振りをすることにウンザリし、どこか遠くに行って勝手気ままに暮らしたいと思うが、肝心のお金が無かった事に加え、これまで盗んだ物の処理に困ってしまい、そして彼がどうしたかというと・・・。

　なんと盗んだ物をあちこちに隠して、彼自身は、｢なくしたものを　みつけてしんぜます　1つ　10ポンタ(お金の単位らしい)｣と、旗を掲げて商売をし、さも占いの力で見つけましたとばかりに、お金をもらう上に、彼が知らない物(盗んでいない物)は知らないと答えて、お金を貰わない事で、正直者の印象も抱かせるという、ちゃっかり振りであった。

　そして、金持ちになったぼんぞうは、すっかり意気揚々と日暮れ前に村を出るが、まるで、これまでのバチが当たったかのように、木の根に躓いて転げ落ちた先の穴の途中に、ピタッとはまってしまい、そこから出られなくなってしまうといった、まあ、そうなるでしょうねといった展開には、これまでの古今東西のお伽話でもお馴染みの、よくある寓話的な教訓ものといった感を、ここまでは抱いていたのだが。

　佐野洋子さんの絵は、色鉛筆でごちゃごちゃと描き込むような混沌さと、動物たちの絵の、そのリアルさと素朴な可愛らしさとの独特なバランス感に、まるで子どもが描いたような無垢な感じが、時に、物事の非情さを大人の描写よりも痛烈に映し出す、まさに寓話的絵本に相応しいと感じさせられたが、そこは、ほうこさんの絵本ならではの意外性もあったのである。

　例えば、よく見る寓話的物語の終わり方の場合、大抵は、悪いことをした加害者が、それまでの被害者の鬱憤を晴らすが如く、酷い目にあって、こうならないように皆も悪いことをしてはいけないよといった、極端に冷酷なパターンが多かったと思うが、本書の場合、まるで、そうした行いをするのも人間であることを分かっているかのように、改心の機会が与えられていたのであり、これには賛否両論あるかもしれないが、そこに垣間見えた、ほうこさんの人間を信じたい気持ちや優しさに、私は、より心を打たれるものがあって、皆がこうした気持ちになれれば、きっと理想的な地域社会を築けるのかもしれないと、思わせるものはあったのだと思う。

2012/09/24

こそどろのたぬきのばんぞうがいままで盗んだものを隠し、占う真似をしてお金を稼ぎます。ばれる前に雲隠れしようとしたら穴に落ちてしまいますが反省したことで適当な石だったのぞきだまが本当の占いの石に。そのおかげでたすかったぼんぞうは心を入れ替え無料でみんなのために占いはじめます。