癌病船 角川文庫

西村寿行【著】

• 販売会社／発売会社: 角川書店
• 発売年月日: 1993/11/25
• JAN: 9784041407813

商品レビュー

2010/05/28

ストーリーがぶっ飛ん…

[文庫ＯＦＦ]

ストーリーがぶっ飛んでいます。癌の患者を乗せた船の内外で起こる様々な困難事例にぶっとんだ乗組員のぶっとんだ行動で回避していく様は爽快です。闘病シーンはリアルです。

2018/06/14

最新鋭の医療設備と世界有数の医師を乗せ、末期ガン患者の治療に当たりながら世界を航海する癌病船・北斗号のストーリーです。妻と娘をガンでを失い、自身もガンで死んだリチャード・スコットの遺志を継いでこの船長に就任した白鳥鉄善と、親や友達と別れたった一人でこの船に登場することになった少女・大月夕雨子を中心に、難病と闘う人間の姿を描いています。

出航に際して白鳥は、ハッサン・マラディの乗船を許可するかどうかをめぐって、病院長のゲリー・ハリソンと対立していました。独裁者だったマラディは、革命によってその地位を追われ、現在は新政府に追われています。白鳥はハリソンの反対を押し切り、マラディの乗船を決定するが、シンガポールに向かう途中、革命政府からの刺客がマラディを襲撃することになります。どうやら船内に内通者がいるらしいと気づいた白鳥は、船内に配備していた３人のカーペンターに内通者を探らせる命を下します。

シンガポールでは、〈竜〉という反華僑コネクションによって、船内にいた鄭志高（チョン・チ・カオ）とナースのポーリン・ルセが誘拐されるという事件が起こります。しかし偶然にも、絶滅の危機に瀕しているガヤク族の少年の治療に当たったハリソンが、２人の居場所を知ることに成功します。白鳥と３人のカーペンターは、誘拐された２人の救出に向かうも、ピンチに陥りますが、彼らの苦戦を知った北斗号の乗り組み員たちが、ボートで彼らの救出に向かうことになります。

エチオピアでは、某国が生物兵器として開発した新種のウィルスによる感染が広がっていました。白鳥はエチオピア政府に、寄港と治療の許可を求めますが、ウィルスの存在を認めないエチオピア政府は彼らの申し出をはねつけます。白鳥とハリソンは、政府軍による砲撃を受ける危険を知りつつも、病に苦しむ人びとを救うために船を進めていきます。

一方、夕雨子の病状はしだいに進行していきます。船内で彼女のたった一人の友だちになったボツワナの少女ムヤンガ・イレーネの死に傷ついた彼女は、サメのいる海へみずからの身を投げ出してしまいます。彼女との交流を通じて静かな絶望の淵から引き戻された石根利秋は、夕雨子の代わりにサメの犠牲となります。石根の死を知った夕雨子は、食事をとらないようになり、やがて衰弱して死んでしまうことになります。

次々と大事件が起こるアクション・ストーリーで、少年マンガ的なノリで読みました。