破壊の季節 徳間文庫

笹沢左保【著】

• 販売会社／発売会社: 徳間書店
• 発売年月日: 1992/06/15
• JAN: 9784195771969

商品レビュー

2013/04/16

すくなくとも　個性的な作家のひとりである。
『あっしには、かかわりあいのないことでござんす』
という紋次郎の発想は、人間への信頼への希求でもあろう。

倉之部三兄弟はキャラクターがおもしろい。

長兄　裕一
医者を目指している。ガンの征服という人類の直面している
課題にむけて　努力している。ただ　一途であることによって
人間らしいあたたかみが崩れている人間となっている。
これが　物語のからみとなっている。

次男　宏次
ヒモ的人間を批判し、裕一のあり方を批判する。
人間らしく　生きるというところに　重要な点をしめているが
自殺への道しかみいだせないところに閉塞状況がある。

絹子　
慎三のまえに　あらわれた　娼婦的女性。
とても面白い女性である。
革命への行為の参加をセックスを通じて共有しようとする。
この女性像は、もうすこし　発展させることができそうである。

2011/05/25

東国大学外科助手・高垣洋一郎が路上で撲殺された。医局員・倉之部裕一の婚約者・芙美代は倉之部の弟・宏次が殺人予告の電話をするのを偶然、耳にしてしまう。電話は高垣の死に関係があるのか?裕一に相談をしても、自分の研究以外頭にない婚約者。芙美代は宏次の犯罪を阻止しようと、電話の謎を探るうち、宏次に魅かれていくのだった。時代の波に翻弄される兄弟の絆とゆれ動く愛。サスペンス長篇。