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大岡越前 吉川英治歴史時代文庫45
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 1989/08/11 |
JAN | 9784061965454 |
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大岡越前
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商品レビュー
2.5
2件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
ドラマでしか触れたことのなかった大岡越前という人間に、別角度から切り込んで知ったような気持ちになった。 人間くさい若かりし頃の越前守の危うさが絶妙に描かれている。 現代日本では考えられない、江戸は情で出来た世界だなと思った。
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大岡越前が様々な苦難を経て、江戸南町奉行にとりたてられた大岡越前守の話。越前は、過去の自分が犯した罪を自分自身で裁きつつも、今の江戸の乱れは、過去の徳川綱吉の制定した生類憐れみの令が原因であると命を賭して将軍(この時は八代吉宗だが)に詰め寄った。 大岡越前は、奉行になる前は、大岡市十郎のち忠相といい、親戚の犯した罪で閉門させられるなど、決して出世コースをひた走っていたわけではなく、本書では、浮浪者のようなことまでして、夜の街をさ迷い歩いていたとも書かれている。 同族の忠真の娘お縫と結婚したあとは、伊勢の山田奉行となり、法を護持し、管理下の民を愛することにおいては、治領の境を接しあっている紀州家を相手に屈しなかったことすらある。山田奉行として忠相の名は、剛毅と厳正と果断で鳴った。公事に敗れた紀州家の内部でさえ称える者があったという。その後、江戸町奉行に転進した。 江戸では、悪党狩りの方では検挙率は悪かったが、市政方面では着々と成果を挙げていった。悪党以上に、防火の面で力を発揮し、消防組を組織させた。江戸のいろは48組のことだ。法の要らない世間、囚人のいない牢屋が良く、獄舎に罪人を溢れさせる、北町奉行とはそのやり方において、一線を画した。細かな罪人までをびしびし牢屋に入れては、今に、世間が牢屋か、牢屋が世間か分からなくなる。彼の民事裁判は、判決ではなく、仲裁の形をとることが多かったと言う。まずは、罪悪の病床からその素因を除いてゆかなければならない。そのためには、市政、とりわけ社会政策に心を砕いていく必要があるといった。 来世なんてない。あったとしても、人間の来世も来来世もこんなもんだ。とすれば、今生の根かぎり、楽しむしか手はない。人間の肉体には、今でも尻尾のあった時代の跡がある。人間の遠祖は紛れもなく動物だった。その動物が、人間らしい社会を持ち、文化を持ち、道徳や宗教や文化や美術や音楽を誇る人間となるまでには何千年もの時と、そして全体の努力がかかってきている。けれど、数千年の進歩も、実はまだ尻尾の跡のある人間だけに、大きな社会的堕落をきたすと、一足飛びに元の原始人へ還元してしまう可能性は十分ある。悪政の社会のどん底をのぞけばわかる。そこにうようよしている群れは、今日の人間から原始の人間に逆戻りした本来の生態に過ぎない。あれを見て一般人が他人事と思うなら間違いである。自分にも尻尾の跡があることを考えて見なければならない。
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