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神州天馬侠(三) 吉川英治歴史時代文庫80
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神州天馬侠(三) 吉川英治歴史時代文庫80

吉川英治【著】

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神州天馬侠(三) 吉川英治歴史時代文庫80

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 1990/01/11
JAN 9784061965805

神州天馬侠(三)

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2018/02/12

(01) 信玄の孫,武田伊那丸のもとに集まった6人が中部日本を舞台に繰り広げる冒険活劇で,漫画前夜とも言える少年向けの小説(*02)ではある. 一見すると主君の伊那丸が主人公であるようにも見えるが,ほぼ当時の読者の同世代であり,童心が色濃い竹童や蛾次郎に,冒険(*03)が仮託され...

(01) 信玄の孫,武田伊那丸のもとに集まった6人が中部日本を舞台に繰り広げる冒険活劇で,漫画前夜とも言える少年向けの小説(*02)ではある. 一見すると主君の伊那丸が主人公であるようにも見えるが,ほぼ当時の読者の同世代であり,童心が色濃い竹童や蛾次郎に,冒険(*03)が仮託されている.後半になるほど,この二人の餓鬼が前面に現われ,その喧嘩や友情,斥力と引力に著者の筆は割かれている. 武田氏の表向きの滅亡後,豊臣氏や徳川氏の勢力図の中で伊那丸一行は泳ぎ続けるが,中途からは,この主人公たちの誰かが死んで欠けたりすることはないだろう,という安心感とともに読めるというのは,その後の少年ものにも引き継がれたお約束なのかもしれない. (02) 語彙のほか,地理事情,歴史事情について,ビルドゥングスともやや趣きを異にするが社会の教科書代わりとでもいうような教養小説になっている.当時の少年は,こうした娯楽から文語的な言葉や日本の歴史地理を学習していたのかもしれない. その点で,終演間際では「神州」に収束するようなナショナリズムの文脈で読めるような箇所もあるし,武芸や忠義のベクトルの雲行きもやや怪しい. 登場人物や小道具などの要素も多いが,必ずしもそれらの伏線が終盤で回収されるわけでもない,投げっぱなしの作劇というのも,逆に気持ちよく感じられる. (03) 冒険性という点では,パノラマな視角の導入が必要となるが,クロと呼ばれる大鷲の飛行運動とそこからの眺めは読んでいて楽しい.空からの視点があれば,冒険としては当然,地下からの視点がある.前半の富士の人穴や攻城戦における地下の風景も印象的である. そして小太郎山や琵琶湖など山や湖,そこに絡む滝,絶頂,草原など舞台の絶景や奇景も子どもの心をくすぐる. 終盤の兵法大講会といったスポーツ大会に各勢力や武力,ドラマツルギーの調停を求めている点も,50年のちの冒険漫画などにおける展開を考えても興味深い.

Posted by ブクログ

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