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不安な産声

土屋隆夫【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 光文社/
発売年月日 1989/10/31
JAN 9784334921644

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2012/05/07

再読。大手薬品メーカー社長宅の庭で、お手伝いが殺害される。容疑者は医大教授・久保伸也。地位も名誉もある彼が、なぜ強姦を装って罪のない女性を殺したのか……。 倒叙物ハウダニットの傑作。被告人の上申書という形式で描かれる、徐々に殺人へ追い込まれれいく男の心情が胸を打つ。最後の一撃もな...

再読。大手薬品メーカー社長宅の庭で、お手伝いが殺害される。容疑者は医大教授・久保伸也。地位も名誉もある彼が、なぜ強姦を装って罪のない女性を殺したのか……。 倒叙物ハウダニットの傑作。被告人の上申書という形式で描かれる、徐々に殺人へ追い込まれれいく男の心情が胸を打つ。最後の一撃もなかなか見事。

Posted by ブクログ

2010/05/06

 人工授精の権威・大学教授の久保伸也は今、獄中から千草検事に手紙を書いていた。自分が人を殺したのは事実だが、強姦の事実はなく、また、今までの供述は真実ではないと。本当の動機、真実、そしてそれをなぜ今話す気になったのか。40年以上前、久保の姉が亡くなったところから始まった、一瞬の気...

 人工授精の権威・大学教授の久保伸也は今、獄中から千草検事に手紙を書いていた。自分が人を殺したのは事実だが、強姦の事実はなく、また、今までの供述は真実ではないと。本当の動機、真実、そしてそれをなぜ今話す気になったのか。40年以上前、久保の姉が亡くなったところから始まった、一瞬の気の迷いで企てた復讐計画が、天に唾を吐く結果になろうとは・・・。  今以上に世間的な理解もなく、倫理観が問題視されたであろう時代に書かれた人工授精をメインにした、時間的にも壮大なミステリーだったが、最後のどんでん返し(?)も含め、今読んでも全く問題なく楽しめ、そして考えさせられる作品だった。人工授精という技術が発達して良い面はもちろんあるが、それに携わる者に良からぬことを考える人間がいたら?ドナーの秘密が守られることを逆手にとった詐欺が現れたら? 考えたことがなかったが、絶対無いとは言い切れない話である。この作品の中でも書かれているが、人工授精において命を扱うのが神ではなく人間である以上、何が起こっても不思議はないのだ。これもこの作品を読んで初めてそういう可能性があることにも気づいたが、ドナーが秘密である故に起こってしまう、同じドナーの人工授精で生まれた者同士の恋愛・結婚(=近親相姦)。天文学的な可能性であったとしても、絶対無いとは言い切れない。この作品ではどんでん返しにより、その天文学的なケースにはなりえなかったが、事実は小説より奇なりだと考えると、不安は拭いきれない。20年以上も前に書かれたものだが、今現在もまだこの人工授精は倫理的観点から争われているだけに、この作品は全く色褪せていない。トリックはまぁ、今の電話事情からすると成立しないかなぁと思うけど。 この話では大部分が久保の独白のため、千草検事や野本刑事、大川警部、そして山岸事務官の活躍はあっさりに思えるが、彼らが登場する話は他にもあるらしく、千草検事シリーズとされているらしい。

Posted by ブクログ

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