錆 光文社文庫

北方謙三【著】

• 販売会社／発売会社: 光文社/
• 発売年月日: 1988/11/20
• JAN: 9784334708382

商品レビュー

2024/02/08

本当に北方謙三のハードボイルドにはハズレがない。面白いことは開く前から確定している。そしてその期待を裏切ることは絶対にない、自分が求めている物語を味合わせてくれる。

アクションもスピード感があり迫力も凄みも半端じゃない。本当にこういうアウトローなやりとりは一瞬の出来事の繰り返しで、長々と書かないことが、よりリアルな世界観を際立たせているように思う。また、この作品の1番素晴らしいと思うポイント会話だ。一つ一つの会話にかっこよさやこだわりを感じる。男としてのカッコ良さが、些細な会話一つから溢れ出ている。男ならこの雰囲気に似合うようになりたいと誰しもが思うだろう。

男にとって誇りは花にとっての水。これが男という生き物さ。前回の感想にも書いた気がするが、10代や20代の男性に本当に読んでほしい。読みやすいし、面白い。若い時に読むからこそ、北方謙三の小説は心が躍り、その衝動のまま何かを始めることができる良いきっかけになるはずだ。少なくともこの作品を読了した直後には、花を育てたくなっているはずだ。それもいいだろう、未知の世界に飛び込み、試行錯誤して苦しむことが人生だ。心が折れそうな時に、また読んでみたい作品だ。