地獄島 お役者捕物帖 新潮文庫

栗本薫【著】

• 販売会社／発売会社: 新潮社/
• 発売年月日: 1988/11/10
• JAN: 9784101433035

商品レビュー

2018/10/13

昭和61年（1986年）に書かれた作品です。
前作「吸血鬼」の続編です。続編ですが、内容はまったく違っていて、主人公は嵐夢之丞ではなく、女スリの「切支丹お蝶」の視点で物語が展開します。「吸血鬼」は「捕物帖」でしたが、本作は全然捕物帖ではなく、嵐夢之丞の生い立ちにまつわる、複雑かつ悲しい物語が展開します。
しかし、本作、面白いです。
次から次へと場面が変わり、次から次へと様々なことが起こり、退屈しません。まさに「ジェットコースター」ですね。560ページとかなり長いのですが、ほんとまったく退屈しません。さすが栗本薫です。
あと、台詞回しや場面の描写など、なんだか舞台を見ているような錯覚を覚えます。たぶん意識的に（栗本薫だから無意識に？）そのような表現が為されているのだと思いますが、ちょっと面白いです。

2013/09/03

前巻の「吸血鬼」に輪をかけて面白かったです。何だか“グインサーガ外伝の日本時代劇版”みたいな（笑）？結構ページ数あるのに読むのが止められない。夢之丞の過去と秘密が分って、これはこれで一応ひと段落な風ではありますが、謎も未練も残ってますねぇ。お時の坊やは誰との子だったの？とか、夢サマ、秋さま、お蝶の三角関係は？とかとか…。本来ならまだまだ盛り上がったであろうのに惜しい限りです。

2012/02/26

嵐夢之丞という若い女形を追い求める切支丹お蝶。
お時という瓜二つの女性と知り合う。

小説新潮に1985年に連載された作品。

あとがきに「本日の狂言はこれまで」
とあります。

芝居，江戸，女形というのは栗本薫の嵌り言葉なのかもしれない。

ps.
栗本薫の時代小説は、しなやかでやわらかい。
赤川次郎の時代小説も、同じ雰囲気かも。