魔界水滸伝(9) 角川文庫

栗本薫【著】

• 販売会社／発売会社: 角川書店/
• 発売年月日: 1988/06/10
• JAN: 9784041500255

商品レビュー

2010/05/28

多一郎と、華子の結婚…

[文庫ＯＦＦ]

多一郎と、華子の結婚式。さまざまな想いが入り乱れます。そして、一人の犠牲者が…。先住者の愛の形を見せつけてくれます。

2024/10/27

【概略】
　北斗多一郎の部下・酒呑童子の策略によりランドウィルスを注入されてしまった純血の人間・生島耕平、彼の症状は日を追うごとに悪化していった。もはや人の姿とは言いがたい耕平に、安西雄介は絶句し、北斗多一郎への怒りを募らせる。そして耕平の恋人であり、翼の民を率いる鷺の姫である夏姫は、敵対する北斗多一郎に対し自らの部族を裏切るという条件を受け入れ、ランドウィルスのワクチンを入手しようとする。しかしこのワクチンは、症状の進んだ耕平を死に至らしめるものだった。人間として、人間の誇りを持ったまま死んでいきたいという耕平、その存在がまた安西雄介を強くする。

年月日不詳　　　　　　　読了
２０２４年１０月２６日　読了
【書評】
　おそらくは魔界水滸伝全２０巻の中で最も心動かされる巻なのじゃないかな？パンピーの（人間としての）自分に最も近い登場人物だったからね、生島耕平は。
　そしてちょうど先日読んだ「解夏」と同じような感覚に。解夏とは夏安居（雨安居）の終わりを示す日で、小説「解夏」では失明への恐怖が終了する瞬間（失明する瞬間）のことを指していて。生島耕平の死の後に加賀四郎が安西雄介に説いた話、「死はしずかで絶対的なもの」あたりの部分、共通してるなぁと思った。
　この生島耕平の死のあと、北斗多一郎と藤原華子（地這い）の婚礼、そして先住者と安西雄介軍団が一堂に会する「会」になだれ込むのだけれども。ライトノベル版・遠野物語な感じがして面白い。玉藻前だとか岩手とか、先住者それぞれのエピソードなどを知っていると、またより楽しめるなぁとも思う。
　そろそろ第一部が終わる・・・ということは、ワクワクドキドキが減るという・・・残念だなぁ。

2019/11/05

内容（「BOOK」データベースより）
北斗多一郎に注入された“ランド・ウイルス”に冒され、インスマウス化した生島耕平は、安西雄介や、恋人の“鷺の姫”夏姫に看取られなが、〈人間の心〉を守るために自らの命を断った。復讐に狂う夏姫は“みづち”の若長・北斗多一郎と“地這い”の姫・藤原華子との妖しくもおぞましい婚礼の席に乗り込むが…。そのとき、現実界と魔界とが完全に同一化するという“会”の刻が訪れた!怪奇曼荼羅を織りなす壮大な伝記SF巨編第九弾。

報われない恋を書かせたら天下一品だと思っています。生島と夏姫の恋が切なくて泣いた覚えがあります。