ホルヴァート著作集(1 戯曲編)

エデン・v.ホルヴァート【著】, 岩淵達治, 越部暹, 棗田光行, 大久保寛二【訳】

• 内容紹介: 内容:1 戯曲編 カ-ジミルとカロリ-ネ-民衆劇 岩淵達治訳. 信仰愛希望 大久保寛二訳. ウィ-ンの森の物語-三部の民衆劇 越部暹訳. イタリ-風ガ-デンパ-ティ-の夕べ-民衆劇・セ-ヌ川の身元不明の女 棗田光行訳. 2 小説編 永遠の俗物-ためになる小説三部作 有賀健訳. 現代の子 戸室博訳. 神なき青春 上田浩二訳. エデン・フォン・ホルヴァ-ト-生涯と作品 上田浩二著
• 販売会社／発売会社: 三修社/
• 発売年月日: 1987/10/15
• JAN: 9784384046991

商品レビュー

2020/10/11

第一次大戦後の行き詰るドイツ社会で作家活動。第二次大戦開戦一年前に逝去。
ということでとにかく暗い。
お祭りでも不幸せな若者たち「カージミルとカロリーネ」
ちょっとした誤解で犯罪者扱いされた女性「信仰　愛　希望」
駆け落ちしても大人が守ってくれる皮肉「ウィーンの森の物語」
小さな町にもファシストの影が「イタリー風ガーデンパーティーの夕べ」
孤独な女性が束の間心を触れ合った人物とは「セーヌ川の身元不明の女」を収録。

タイトルだけ読むと恋愛劇や宗教劇をイメージさせるものの、
庶民の生活の苦しさを書いたものがほとんど。
読んでいてとても息苦しくなる。
収録作の中では「カージミルとカロリーネ」が「怒りをこめてふり返れ」
の主人公を外へ出したらという印象（むしろ参考にした？）で時代を超え残るものだと思う。

作風としては時代への警鐘の意味合いが強い。
同じ警鐘でも、ジロドゥやチャペックに比べると
フィクションならではの物語要素が薄く、
どれだけ現実に近付けて書けるかに重きを置いている。
そこが一時期忘れられた要因かも…
国際情勢がきな臭く、景気も中々上がり調子にならない今
どこか遠くの話とは感じられない著作。