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ポポイ
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 福武書店/ |
発売年月日 | 1987/09/16 |
JAN | 9784828822365 |
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ポポイ
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商品レビュー
4.6
6件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
倉橋作品四作品目、『ポポイ』。あらすじの「首の世話を任された元首相の孫娘・舞と、首との奇妙な交流」というところで、サロメ好き、ユディト好き、生首主題好きとしてはワクワクして読みました。長さは中編くらいでさっくり読めるし、中身はSFであり、慧君シリーズでもあり(祖母の桂子さんってあの桂子さんなのかしら人物相関図が必要)、哲学や美術があり、三島由紀夫があり…と好きでした。そして旧仮名遣いも好きだし。 元首相(祖父・タレーラン公爵)が入江晃、その夫人(祖母・ディノ公爵夫人)が桂子、俊伯父、ゑり子伯母、桂子の孫である聡子(晃とは血縁関係がない)とその夫・宮沢明、父母と、私・栗栖舞(クルヴェルリの「マグダラのマリア」の顔!)。それからいとこの慧君。この家系図いつか更新できるのかな?笑 本作は1987年出版なので、三島の死から17年経ったころで、ポポイの「前世」がテロリストで割腹・介錯を受けた首であることは三島っぽいなと思いつつ、作中で直に触れられているとは思っていなかった笑 書籍守りである人物によれば、最初に『仮面の告白』、その後伝記を(『三島由紀夫―ある評伝』ジョン・ネイスン)、小説では『鏡子の家』、最後に『豊饒の海』、デザートは『三島由紀夫あるいは空虚のヴィジョン』M・ユルスナールを、とのことだった。これは作者自身のおすすめなのだろうし、特にネイスン、ユルスナールに関しては未読なので読んでみたい気持ちが募る。そして三島を語るのが「聡子」さんなのである。三島の死に関しては「私にはわからない。三島がなぜあんなことをしたかといふことが、ではなくて、明晰な意識が明晰なまま整然と狂つて自己破壊に至るまでのその手順が、どうにもよくわからない。…」と書いている。これは『聖少女』(三島自決前出版だが)にも触れられていたことだな…。三島に対する倉橋由美子の文と見ても、興味深い。 話は、首とコミュニケーションを取るところから始まり、途中で舌を使った筆記方法が開発され文章をやり取りするようになり、その後急速に老いが訪れた首を生き埋めにするという話で、ペットのような距離感が面白い。主人公の舞は執着も特になく、あっさり・淡々と人生を他人のように傍観している。そこが良い。ある意味他作品の女性たち(『パルタイ』など)に通じる、冷徹な視線とも言うべきものを。回復した祖父に老いてきているポポイについて相談した時の、「神、私、宇宙、意識、存在、生命、真実、自由、永遠、救ヒ、平和、超越、死、再生、メッセージ(横線)、人間、世界、善悪、正邪、美醜…ソレダケアレバドンナ神秘思想デモ語レル。コレラノ言葉の任意ノ組ミ合ワセハ、本来情報トシテハ無ニ等シイ綿飴ノヤウナモノダトシテモ、人ハ自分ノ体験ニ照ラシテ、時ニハソコカラ無限ニ豊富ナ情報ヲ読ミトルコトモアルノダ。ポポイガ思索ニ耽ッテヰルト見エタノハ、コノ組ミ合ワセヲ手当タリ次第ニ作リ、ソノ中デ意味ノアリサウナモノヲ拾ヒ出ス作業ニ熱中シテヰタトイフコトダラウ」というこの文章は、痛烈な批判だし、そのように人々が見えていたのだろうなと思うと、滑稽な一方、熱中している周りからの孤独感というか狂気に陥りそうになることもあったのではないかと思ってしまう。自分以外が狂っているときに、自分は果たして正気なのかと思ってしまうような。 …そしてポポイの墓を建ててやらなくては、と思ふ。ポポイの墓。戒名タナトス。享年零歳。 素晴らしいエンディング。
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もう何度読んだことか。 旧かな遣いですが、面白いし、短いお話なので、 手に取ると必ず一気読みする桂子さんシリーズ番外編。 桂子さんは夫と死別後、 政治家の入江氏と愛人関係になり、年を経て、 桂子おばあさまと呼ばれています。 その入江氏の孫娘・舞の一人称で語られる「生首」の物語。 ...
もう何度読んだことか。 旧かな遣いですが、面白いし、短いお話なので、 手に取ると必ず一気読みする桂子さんシリーズ番外編。 桂子さんは夫と死別後、 政治家の入江氏と愛人関係になり、年を経て、 桂子おばあさまと呼ばれています。 その入江氏の孫娘・舞の一人称で語られる「生首」の物語。 想い人を独占することの不可能さに懊悩し、 大して好きでもないが自分を好いてくれてはいるらしい別の男と 一緒になるしかないのか――と考える舞が、 カワユくて可哀想だなぁと、しみじみ。 また、その想い人=宇宙と繋がって 神様になっちゃった従兄の慧くんと、 似たようなことを訴えはするものの、 知性も教養もさほど身に着かないまま肉体を失って 思考するだけになった生首=ポポイの対比がブラックでシニカル。 しかし、結婚までの暇潰しに生首の世話ってさぁ……(-_-;)。
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■福武書店1987.9.16 ■新潮文庫 1991.4.25 解説/斎明寺以玖子 装丁 杉本典己 カバー 多賀新
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