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アジア混沌紀行
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アジア混沌紀行

立松和平【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房/
発売年月日 1987/06/30
JAN 9784480822284

アジア混沌紀行

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2013/03/11

P371 「アジアへの道」  何かにつけ思い出す風景がある。  私は排水量一万トンの大きな貨客船にのっている。略  早朝だった。 薄くかかった朝靄に、 何もかもが灰色に塗りこめられていた。 船はバンコクの港をめざして、 シャム湾からチョオ・プラヤ川を遡行していたのだ。 河口近くの...

P371 「アジアへの道」  何かにつけ思い出す風景がある。  私は排水量一万トンの大きな貨客船にのっている。略  早朝だった。 薄くかかった朝靄に、 何もかもが灰色に塗りこめられていた。 船はバンコクの港をめざして、 シャム湾からチョオ・プラヤ川を遡行していたのだ。 河口近くの川幅は広く、 茫漠たる沼沢地を形成していた。 丘陵どころか高い樹木さえ一本もなく、 水に呑みこまれそうな心細い陸地には、 潮でいためつけられるのか枯れかかった葦が一面に生えていた。 上げ潮らしく、 陸地は溺れかかっているようにも見えた。  水はねっとりとして、 船が進むにしたがい音もなく皺をひろげていった。 波はそのままで陸地まで届いて泥の岸辺を弱い力で嘗めた。 動くものは、 船と、 船の舳先(へさき)が立てる波ばかりだった。 一週間鉄の箱に閉じ込められていた乗客は、 ほとんど全員甲板のてすりにもたれ、 横にすべっていく風景を眺めていた。

Posted by ブクログ

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