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餓死した英霊たち
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 青木書店 |
発売年月日 | 2001/05/25 |
JAN | 9784250201158 |
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餓死した英霊たち
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商品レビュー
4.4
10件のお客様レビュー
太平洋戦争時、日本兵の死因の大多数が戦死ではなく餓死および栄養失調による合併症であることを精査考証した一冊。兵站軽視、大和魂重視などの原因の中、陸軍幼年学校出身者による派閥主義もその一翼を担っていたというのが新しい発見でした。
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如何に日本の軍隊が無能であったかが、わかる本である。大本営の無理な作戦のために、若い命が無駄になってしまった。戦闘での死より餓死の方が多いなんて。作戦を計画した大本営の人達は、反省もせず、戦後ものうのうと生きているのが許せない。
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政府が明らかにしている第二次大戦での軍人戦没者は現時点で230万人だが、その過半数は、勇敢に戦って命を落とす「名誉の戦死」ではなく、餓死だった。餓死でまず思い浮かぶのは「ガ島、飢島」と呼ばれたガダルカナル島だが、実はガダルカナルは特異な例ではなく、餓死こそが日本兵の最も一般的な...
政府が明らかにしている第二次大戦での軍人戦没者は現時点で230万人だが、その過半数は、勇敢に戦って命を落とす「名誉の戦死」ではなく、餓死だった。餓死でまず思い浮かぶのは「ガ島、飢島」と呼ばれたガダルカナル島だが、実はガダルカナルは特異な例ではなく、餓死こそが日本兵の最も一般的な死に方だったことを、著者は資料を分析しながら証明していく。ニューギニアで、ビルマで、インドで、南洋の島々で、更には中国で、多くの日本兵が飢えて死んだ。歴史学者であるとともに、戦時中は中国戦線に派遣された師団の中隊長だった著者は、自ら経験した軍の様子、様々な資料から、多くの兵士が死んでいったさまを「地獄の中での野垂れ死に」と呼び、明白な人災として断罪し、そのような地獄に兵を突き落とした構造を解明していく。 詳しくは本書に譲るが、根底にあるのは基本的人権の無視、恐ろしいまでの人命軽視だった。人命を尊重していたらそもそも戦争などできないわけだが、日本では、それがこの国特有の風潮や考え方によって、最悪な形で顕現してしまった。超エリートを輩出する教育システム、そのエリートが現地の地理も知らずに机上で立てる作戦、華々しく見える戦闘作戦のみに固執し、命に直結する栄養、補給、輸送を無視、アメリカ軍の優秀な兵器に白兵戦で立ち向かわせる精神論、そして、捕虜となることを認めず、降伏より死を選ばせる「文化」。日本兵の過半数は、自滅必定で送りこまれ、餓死か玉砕しか選べない状況で、考えうる最も苦痛に満ちた死に方で、死んでいった。その責任の所在、そうした悲劇を生んだ構造が、この本を読むとよくわかる。 特に悲惨だったのは「孤島の置き去り部隊」だろう。日本軍は中部太平洋の小さな島々にも守備隊を配備したが、制海権、制空権とも掌握したアメリカにとって、これらの島の日本軍は何の脅威でもなく、攻撃する価値もないため無視。日本軍は船や飛行機を送ることができないため、そのまま放置。結局、地味が悪く、農耕に適さないこれらの島々に送られた兵士には、手持ちの食糧が尽きた後は、餓死が待つのみであった。 戦争の悲劇を訴え平和を求める人を揶揄して、「戦争ってそんなものでしょう」としたり顔で言う人がいる。その通りである。戦争とは、こんなものなのだ。この本を読んで同じ言葉をもう一度言ってもらえればと思う。この言葉の持つ意味や重みが変わっているはずだ。 「現在の日本があるのは英霊のおかげである」という言葉もよく聞く。これもその通りである。餓死という、想像を絶する苦痛に満ちた死に方を選ばされた兵士は、命の終わる瞬間に何を思ったか。少なくとも「次はうまくやれよ」ではなかったはずだ。二度と戦争の愚を繰り返させない。これが、彼らの野垂れ死にを無駄にしない唯一の道であると、この本は教えてくれる。
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