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探偵小説論序説
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 光文社 |
発売年月日 | 2002/03/25 |
JAN | 9784334973360 |
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探偵小説論序説
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ー 今から思えばそれは、真と善と美の近代的三位一体説が崩壊した二〇世紀思想の内部における限定的なアナーキーであったにすぎない。としてもマルロー『人間の条件』やサルトル『嘔吐』やセリーヌ 『夜の果ての旅』を愛読した少年に、真と善美は前提として背立的なものと把握されていたのだ。 カ...
ー 今から思えばそれは、真と善と美の近代的三位一体説が崩壊した二〇世紀思想の内部における限定的なアナーキーであったにすぎない。としてもマルロー『人間の条件』やサルトル『嘔吐』やセリーヌ 『夜の果ての旅』を愛読した少年に、真と善美は前提として背立的なものと把握されていたのだ。 カントとヘーゲルによる近代的三位一体説の基礎づけは、すでに同時代に、シェリングやシュティルナーによって拭いがたい疑惑のまなざしを向けられていた。これはいわば、高度市民社会が生産するアナーキーあるいはニヒリズムともいうべきものである。「妥当」という言葉が、認識と実在の一致を真とする認識論哲学の中心概念だが、これとの関係でいえば、真理は善と美、倫理とエロスに背反するものであり、妥当に生きることは生きることの妥当を保障しないという確信になる。 近代的な真理の探究とは、内部(認識)がいかにして外部(実在)と一致しうるかという問いのなかにある。近代的な思考においては、認識と実在の一致こそが真理なのだ。しかし実存の思想は、内部と外部の一致としての真理や認識論などどうでもよいという切迫感においてのみ生じえた。キルケゴールもドストエフスキイもサルトルも、この切迫感の著しさにおいてのみ、筆者の読書圏に登場してきた。 ー それな。 『夜と霧の誘拐』の単行本早くだしてくれ。 連載終了から14年経ってるのに、“あと何回か読み直して来年の春には出せるかな”とつぶやくなんて狂気過ぎる((((;゚Д゚))))))) あと2作詰まってるんだから早く出して、次にいってくれ!
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探偵小説のストーリーは、定型的であると同時に さまざまな規則によって縛られてもいる つまり探偵小説は 近代ロマン主義の影響下に生まれた1ジャンルでありながら むしろ近代に背を向ける方向へと発展したものだ そして、その大衆化を急速に進めたのが 二度にわたる世界大戦の戦間期であったこ...
探偵小説のストーリーは、定型的であると同時に さまざまな規則によって縛られてもいる つまり探偵小説は 近代ロマン主義の影響下に生まれた1ジャンルでありながら むしろ近代に背を向ける方向へと発展したものだ そして、その大衆化を急速に進めたのが 二度にわたる世界大戦の戦間期であったことは ある重要な示唆を含んでいる 第一次大戦に登場した大量破壊兵器が 「近代的人間」なる錯覚を打ち壊したのにともない 「群集」へと退行していった人々は みずからの先行きをさまざまに決めかねていた そういう中で、なぜ探偵小説が広く求められるようになったのか それは、近代に背を向けて 近代小説のメタレベルに到達したのが探偵小説だからである 読者が探偵の捜査過程(プロット)を読むとき 探偵は犯人の隠した真相(ストーリー)を読んでいるのだが そういう二重構造じたいが 近代小説へのポストモダン的な批評になっており また同時に、探偵小説では 登場人物の内面描写を徹底的に排除していたことが 「近代的人間」の理念を失った人々の気分に フィットしたのである つまり読者たちは、単なる謎解きパズルの域を超えて 犯罪を犯してしまった犯人の心に またそれを追う探偵の足取りに 失われた自分たちの物語を探していたのかもしれなかった もちろんそこに デマゴーグの萌芽を見ることもできなくはないのだ あらゆる迷信はすべて論理的に説明可能とするロマン主義だが ひっくり返せば 論理を駆使することで迷信を操ることも可能だ 名探偵は、ときにそういう詐術を用いて読者を錯覚させる 単なる憶断、直観、決めつけを あたかも論理的帰結であるかのように提示することができる しかし少なくとも、探偵小説における安易な結論に対しては 読者が厳しく追及していくことになるだろう またそれが優れた作品ならば 提示された謎をひとつの象徴として解明する過程にこそ 真実が見いだされるだろう そのように、たったひとつの真相を見出そうとする ラジカルな態度こそが ポストモダニズムまでをも超えて、探偵小説の誘発する ロマンであろうかと思います
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