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煙で描いた肖像画 創元推理文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2002/07/12 |
JAN | 9784488163037 |
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煙で描いた肖像画
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煙で描いた肖像画
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商品レビュー
4.2
10件のお客様レビュー
技巧派作家、バリンジ…
技巧派作家、バリンジャーの手際が冴える傑作ミステリ。騙されたい人へ。
文庫OFF
偶然見つけた1枚の写…
偶然見つけた1枚の写真に写った少女に恋をしたダニーは彼女の消息を辿りはじめる。一方で語られる彼女のストーリー。少女は稀代の悪女に成長し・・。2人が出会うラストの数ページで何が起こるのか!今ではサスペンスでは当たり前の、2つのエピソードが交互に語られるという手法はバリンジャーが初め...
偶然見つけた1枚の写真に写った少女に恋をしたダニーは彼女の消息を辿りはじめる。一方で語られる彼女のストーリー。少女は稀代の悪女に成長し・・。2人が出会うラストの数ページで何が起こるのか!今ではサスペンスでは当たり前の、2つのエピソードが交互に語られるという手法はバリンジャーが初めてらしい。「赤毛の男の妻」「歯と爪」といい、奇想天外な仕掛けが有名だが、これもしっかり騙される。うまいうまい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ま、わりと下世話な話で、黒い「わらしべ長者」、あるいは黒い「ティファニーで朝食を」=悲惨な境遇に生まれながら自分の望む人生を手に入れるべく過去を消す若い女性を、彼女に憧れる傍観者が追う構図。後者とは時代も大体重なるが、爽やかで切ないニューヨークと、どことなく地に足のついた産業都市シカゴの違いか、出世魚的な話になった。都市の詳細な描写も魅力になっている。写真家に対する詐欺と最後のエピソード以外は真っ黒でもないので煙という表現がちょうどいいのかもしれない。 語り手がヒロインの軌跡を辿るパートとそこで実際何があったかが後追いで交互に展開し、話を聞いた相手が曰くありげだったのはそれでか、と腑に落ちる流れで、読み出すと止まらなくなる。語り手ダニエルが直接話を聞けた男達は自分に都合の悪いことを話さなかったので、彼が女の怖さに気づくことはできない。実際2人が出会った後彼女が明らかに妙なことを言い出しても、夢中になっている語り手のフィルターを通して描写されているために(学習能力のない自分は)その計略に気づかず、ドアを開けて執事がいた場面でハッとした。その前からハラハラドキドキしながら読むのと、ここで思い切りどきっとさせられるのと、どちらも楽しいと思うけれどおそらく後者の、そういえばそうよね、とストンと落ちる方がより楽しめるだろう。そこがこの作家の語り口が上手い所かなと思う。広告代理店への就活場面と戦争の英雄との結婚の辺りはそんなにうまくいかないでしょと突っ込んでしまうようなご都合展開ではある。なかなかいいキャラクターだったティム・オバニオンが直接害を被らなくてほっとした。 「美しき罠」のヒロインと違い、知恵が働き切り返しが早いけれど、肉感がなく機械的。地位や財産は男を通じて、あるいは依存して得るものと割り切って自動運転モード的な駒の進め方。ローザ・パウリが求めた愛されている実感と経済的豊かさを後半で達成できたようだが…由緒正しい家柄の婚約者宅でのクリスマス晩餐の席で、作り上げた虚像ゆえ心休まることがなくふとマリアのことを思い出す辺り、抜け目がなくヘマをしない分無感動で幸福の感受性が欠落しているような。富豪の妻に半ば強引に収まっても相手への嫌悪感に蝕まれ自由を求め究極の行動=夫殺しに手を染め身代わりをセットアップする。虚構の中で語ったウォーターベリーへの愛は、女が嘘つきだと知らない語り手を打ちひしがれさせたが、彼は最後の衝撃を受け止め後悔していないらしい。粘着質に追跡するきっかけとなったその美貌について記憶が曖昧になってしまったほどのショックは受けたが、手口の鮮やかさには妙に驚嘆してしまっているようにも見える。
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