トペトロとの50年

水木しげる(著者)

• 販売会社／発売会社: 扶桑社/
• 発売年月日: 1995/07/30
• JAN: 9784594017811

商品レビュー

2022/04/18

ラバウル戦記の後日談。でも半分は復員後のスケッチや子供の頃の話。

トペトロとの話は面白かった。
私がずっと気になっていた回答もそこにあった。
水木先生も書いていた、『私はホントに抜けていた』と。
トペトロの所に行けば素晴らしい歓待で迎えられる。例えば横になったら葉っぱの団扇でずっと扇いでもらっていたり。それをただ同然なのだから！（先生もトランジスタラジオや目薬を持っていったと書いているが…え？それだけ？という感じだった）
戦争中、命を救ってもらったと言っても過言ではないトペトロにそれはないだろう～？と思っていた。最後の方に中古の自動車をプレゼントして『やっと恩が返ってきた』とトペトロが言ったとあるけど、もっと恩を返してもいいんじゃないかと思っていた。村にとって大切な祭事道具を日本に送れとか、お願いしてるんだから。

が、しかし！トペトロが亡くなったという手紙をもらう。その2年後に葬儀をするから来てくれと言われた水木先生は娘2人と一緒に現地を訪れるのだが、まったく葬儀が行われる雰囲気がない。どうやらトペトロの子供たちはお金がなかったらしい。
そして行きがかり上水木先生がトペトロの葬儀代を出すことになる！葬儀には踊る人や演奏する人、その他もろもろへのお金が必要だったからだ。
こちらの貧乏は日本の貧乏とは比べられないくらい貧乏なのだということだ。
私は、よかった。と、思った。
きっとこのためにトペトロと再会したのではないだろうか？と思った。

そしてこの本の写真で気になっていた『トンブアナ（ドクドクともいうらしい）』
を見る事が出来た！！！この丸っこい葉っぱのお化けはなんなんだろう？と、水木先生が描く絵を興味深く見ていたのだが、それをこの本ではっきりと知ることが出来てすっきりした！なんてまるい形をした葉っぱのお化け（というか神）なんだろう！
実際に見てみたい！とは思うのだが、ボウフラの沸いた水で入れたコーヒーは飲めない…。＝そういう場所には行けそうもない。体力的に。

2006/09/30

「鬼太郎」の水木しげる先生と、先生が大戦中にラバウルで知り合った現地人トペトロとの50年に及ぶ交流。水木しげる先生のバイタリティと大らかさに脱帽。すごい人だ。