梅田スカイビル 原広司プラスアトリエ・ファイ建築研究所 建築リフル006

藤塚光政【写真】

• 販売会社／発売会社: TOTO出版/
• 発売年月日: 1993/09/10
• JAN: 9784887060760

商品レビュー

2024/11/21

梅田の外れに空に溶け込むようなガラス張りで変わった形のビルがある。
1993年に竣工した40階建て172mのツインタワー。
建築物に普段関心がない人でも興味を惹かれた事があるのではないだろうか。

１冊丸ごと梅田スカイビル、たった50ページにも満たない本だが、満足の内容だった。
前半は写真集、後ろ半分に立面図や対談という構成である。
1993年発行のため写真の解像度は現代に比べると良いとはいえないがビルの様々な表情が切り取られている。
満月とのショットがかっこいい。空中庭園が写されたものは展望を楽しむ人々の服装や髪形に時代を感じて面白い。
当時は目立つ高層ビルもアプローズタワーやヒルトン位しかなかったようだ。

スカイビルの生みの親、原広司氏と写真家の藤塚氏の対談の中で、「記憶というものは未来に向かってあるもの」という原氏の言葉が印象に残った。

高さ制限の話や、法基準と技術面でやむなくエレベーターをエスカレーターに変更した建築秘話も面白い。
連結することで地震や火災にも強いのにはなるほどと思った。
今なら実現できるのだろうか、原氏が思い描いたダイナミックな斜行エレベーターは。

藤塚氏が上には音もしないし風も下よりもないと仰っているが、私自身も訪れてみて実際その通りで、その庭園には非常にのんびりした気持ちの良い空間があった。

竣工から30年以上が経ち、梅田地区にはスカイビルよりも高いビルが乱立している。
しかし、いまだにスカイビル以上の存在感を放つビルは現れていないように思う。