1,800円以上の注文で送料無料

商品レビュー

4

1件のお客様レビュー

レビューを投稿

2009/04/21

まだ方向性が定まっていないからこそ多様な作風が見られるデビュー作

作者初の単行本である。全7作(9編)に冒頭4頁と中程に8頁のカラーイラストという内容。そのほとんどが緊縛されていたぶられる美少女というイラストが作風を象徴している。当然ながら今に比べて粗削りな画風だが、作者らしいムッチリ柔らかそうな肢体の女性達はこの頃からしっかり描かれている。可...

作者初の単行本である。全7作(9編)に冒頭4頁と中程に8頁のカラーイラストという内容。そのほとんどが緊縛されていたぶられる美少女というイラストが作風を象徴している。当然ながら今に比べて粗削りな画風だが、作者らしいムッチリ柔らかそうな肢体の女性達はこの頃からしっかり描かれている。可哀想なシチュエーションで責められる展開が多くて読み手の嗜虐性を刺激するが、ストーリー展開にムラがあって纏まりに欠けたり意味不明な結末だったりする作品もある。作品的に一番の出来は【Brother(前後編)】だろう。実弟を密かに愛する姉が酷い目に会う哀しく切ない展開から最後は弟に想いを告げて結ばれる背徳の愛情物語である。美しい娘の「初めて」を恋人の目の前で奪う実父が鬼畜外道な【人形(オモチャ)】の背徳感と寝取られ感はなかなかのもの。捨て身の頑張りが全く報われない娘が不憫過ぎる。【美幸(前後編)】、【旧友三人】も寝取られだが、美幸の行動は全くもって理解に苦しむ、というか理解不能である。むしろ婚約者の親友が寝入ったスキに合体しちゃう旧友(かつての恋人同士)や、拾った猫が【ねこびと】に変身して恩返しの「ご奉仕」をする話の方が、いやらしくも微笑ましくて好印象に思う。ベタだがホラーテイストな【最終電車】や、バーチャルマシンで想像の快楽を味わう【電脳遊戯】(訪問販売に殺到する団地妻達がシュール)といった一風変わった作品もある。さすがに初期の作品らしく、意気込みがまだ描き切れていないところも見受けられるが、だからこそ感じられる勢いや思い切りの良さがあるように思う。

DSK