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風と木の詩(中公文庫版)(8) 中公文庫C版
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2003/01/01 |
JAN | 9784122041615 |
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風と木の詩(中公文庫版)(8)
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商品レビュー
5
4件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
率直な読後感は放心に近い。ジルベールが叔父や上級生から性的虐待、乱暴をされ、自暴自棄になるシーンが来るたびに、早く読み終わって楽になりたい…と思ってたのだが、そんなに甘くなかったようだ、心の整理が上手くつかない。一巻のまえがきで竹宮先生が、自分は恋愛物語がきらいで、これは「恋が勝つ」話ではない、というようなことをおっしゃっていたのだけどまさにその通りで、真っ直ぐで強いセルジュが傷ついて飢えているジルベールを救済する、といった筋書きの少年同士の愛の話ではなかった。 ジルベールがああいう風な性格になったのは家庭環境のせいと生来の性質だ。大きな屋敷に放ってかれ野生動物のようになった子どもは、叔父(実際は父親)に目をつけられ性的虐待をされて、何も知らなかった彼は叔父に依存するようになってしまう。実は叔父のオーギュストも義理の兄に性的な乱暴をされた過去があり、虐待の連鎖である。オーギュストはジルベールは自分の所有物だという意識が強く、ジルベールがセルジュに惹かれるようになったのを知った時は学校に置いてしばらく放っておいたのにも関わらず、強い力で引き戻そうとする。 セルジュは深く愛し合って駆け落ちした子爵と娼婦の子どもで、短いながらも幸福に生きた両親の強さを受け継ぎ、その真っ直ぐな心でジルベールに惹かれ、手を差し伸べようとする。彼は頑強な精神でジルベールに向かいその気持ちが伝わって二人は心が通じ合ったと思われたが、結局セルジュは根深いジルベールの飢えを満たすことはできなかった、駆け落ちが成功して二人で暮らすようになっても、ジルベールは外で忙しく働くセルジュに不満を覚え、もっと強く愛するよう求める、かつて自分を支配していたオーギュストのように。ジルベールは満たされない気持ちを抱えながら大人になれずに、子どものままで事故に遭ってあっけなく死んでしまった。その刹那的で破滅的な生き方が彼のどうしようもない魅力で、どうしても避けられない最期だったと思う、大人になるには自分の根本を切り捨てるしかなかったが、そんなことできようもなかったし方法自体を知らなかったと思う。根源的な存在の問題は解決できない。オーギュストによって曲げられてしまったジルベールを何とか真っ直ぐにしようとしても、土台無理な話だった、曲がったままではやがて美しさを失うだろうし、真っ直ぐにしたらすぐに壊れてしまう。歪んだ温室の中でしか生きられなかった少年。ジルベールは死ぬことで、セルジュは自分の美しいピアノの音に彼の存在を重く刻み続ける人生を送ることになる。 愛は人を救えない。水と油は交われない。 真面目な同級生のカールが結構好きだったのだが、信心深い彼はジルベールに心を乱され、セルジュに惹かれて、二人の駆け落ちの後押しを後悔し、信仰にも救われずに悔いて生き続ける。あまりに残酷だが、すべて上手くいくストーリーよりもやっぱり魅力的で心を打つ。彼らを理性的に見つめ続け支えたパスカルの存在は救い、あとセルジュに惹かれ、職業婦人になった彼の妹も自立していて安心感がある存在だ。 私は作中で生きて動いているジルベールに心惹かれず、同情心を寄せながらもあまりに痛々しいのに上手く生きられない彼の生き様にに反発心すら覚えたのだが、死んだ途端にパズルのピースがはまったようにすべてが完成されたように思えて、爆発的に生きたジルベールとセルジュが周囲に与えた影響の大きさに納得するしかなかった。 追記 番外編でジュールとロスマリネを中心にその後が描かれるが、「ジルベールは死ぬことでオーギュストとセルジュを手に入れた」という台詞にぞっとした。それほどまでに飢えた獣だったのか…
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「大人」にならないと、生きていけないのか。 嘘が嫌いで、曲がった事が嫌で、ただ純粋に美しいものに目を向けていては、愛を求めては、生きられないのか。 私の中にもジルベールがいて、だから最後ジルベールが死んでしまうという結末が、とても悲しいのだ。ジルベールを殺さないと、生きていけない...
「大人」にならないと、生きていけないのか。 嘘が嫌いで、曲がった事が嫌で、ただ純粋に美しいものに目を向けていては、愛を求めては、生きられないのか。 私の中にもジルベールがいて、だから最後ジルベールが死んでしまうという結末が、とても悲しいのだ。ジルベールを殺さないと、生きていけないのか、と。 ジルベールは愛に生きた。命をかけて愛する人だった。そんな彼が大好きだ。 私の中で間違いなく一番の漫画でありキャラクターである。
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読み切った!正直嫌悪感もかなりあった。やっぱり男を好きにはなれないなと強く感じた。でも、大切なのはそんなところじゃなくって。 自分の意思で決めたことが結局良くならない結果を招いたり、それで大切な友人や家族に迷惑をかけたり。それでも、誰もが好きな人を思いやって、でも現実は覆らない。...
読み切った!正直嫌悪感もかなりあった。やっぱり男を好きにはなれないなと強く感じた。でも、大切なのはそんなところじゃなくって。 自分の意思で決めたことが結局良くならない結果を招いたり、それで大切な友人や家族に迷惑をかけたり。それでも、誰もが好きな人を思いやって、でも現実は覆らない。時間も進む。 泣いたの、久しぶりだった。ジルベールとセルジュ。少し、自分と重なるところがあるからかな。
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