阿呆の遠吠え

堤堯(著者)

• 販売会社／発売会社: 東京スポーツ新聞社/
• 発売年月日: 2005/04/29
• JAN: 9784808401313

商品レビュー

2024/03/30

元文藝春秋編集長が2002年~2005年(小泉、ブッシュ政権時代)に書いた時事ネタエッセイ。東京スポーツに各週連載された890文字のコラム(特に前半が秀逸)は、ためになり面白くわかりやすい。ビートたけしも絶賛。
《一方蛇足だが、大学入試にもたびたび問題文として出題される朝日新聞の天声人語の駄文(何が言いたいのかさっぱりわからず、最後は筆者のみが悦に入るワンパターン)が異常に有難がられる理由が不明》
例えば、本書はこんな内容です。(数値はそのまま)
◇毎年10月米国から日本に対して出される年次改革要望書、その内容と日本の政策のシンクロ率の高さに驚かされますが、何故かマスコミは報道しない。
◇北朝鮮の核開発を受けて小泉首相がコメントすべき話として「日本も自衛のため核を持つことを検討せざるを得ません。日本は唯一の被爆国です。だからこそ、二度と核攻撃を受けることがないように、本来どこの国よりも自衛の核を持つ資格がある。北朝鮮は我が国民を拉致して返さない。のみならず、核の脅しをかける。これに備えて日本が核を持つ動きに出ざるを得ないことは、アメリカも中国もロシアも韓国も、いや世界の国々に理解してもらえると思う」位はかましてほしい。
◇国民に税金、年金、保険金を振り込ませ、湯水の様に使い、原資を溶かしても責任を取らず、いつの間にか予定利率を勝手に引き下げ、約束の受給額を半減させる。まさに、国家ぐるみの振り込め詐欺ではないか。
◇賠償とは戦争して負けた国が勝った国に支払う。日本は中国の統一政権に負けたわけでもないし、ましてや韓国や北朝鮮とは戦争をしていない。よって、三国に対する賠償義務はないハズだが…
◇有事の際、国を支えるのは、武器装備も大事だが、エネルギーと食料は欠かせない。日本はどちらも3割程度の自給率。しかし、国会議員たちに危機感はない。さらに、外貨準備高はたったの3%。売るに売れない300兆円の米国債(ドルが下落すれば国債も目減りする)が日本の足枷となっている。
◇経済大国だった頃の日本の外国への資金援助はある意味富める国が貧しい国への手助けの側面もあった。しかし、阪神大震災、十勝沖地震、三宅島火山の苦しむ同胞に政府はいくら使った?多くの住民は崩れた家を自費で建て直さなければならないのに。
◇強姦罪には、加害者のチンポを切る。最良の再発防止策です。
◇国際法上戦争開始の条件は２つ。自衛と国連決議。イラク戦争によって決議なしの単独先制攻撃の悪しき前例を作った。イラク攻撃の理由とされた大量破壊兵器の存在は確認できず、本当の理由はサダム・フセインが石油取引通貨をドルではなくユーロに変更したから。ドルが基軸通貨でなくなれば、途端に膨大な債務が顕在化しアメリカは破綻する。【アメリカの大義は人類の大義であるby ベンジャミン・フランクリン】

本書を読んで、今尚続く岸田政権のバラマキ外交やトンデモ諸政策など見ると、日本国が本当に(困っている)日本人のためにあるのか疑問に思えることばかり。
P.S. 安倍晋三氏の漢字が安部になっている誤植は重版以後訂正されているのかな?