落し紙以前

斎藤たま(著者)

• 販売会社／発売会社: 論創社
• 発売年月日: 2005/02/25
• JAN: 9784846001698

商品レビュー

2020/12/02

ｴｼﾞﾌﾟﾄの遺跡を発掘している時に
ある場所で大量にすへすべの小石が
大量に出土した
なんのための意志だろうと調査研究した結果
それが　尻ぬぐいのモノであった

書名の「落とし紙以前」を見たとき
真っ先に、そのｴﾋﾟｿｰﾄﾞが頭に浮かんだ

さすが　斎藤たまさん
目のつけどころが素晴らしい
人類の暮らしがあるところ
「尻の始末」は必ず発生するもの

いつもの「聞き書き」が
冴えわたっている
「落とし紙以前」の具体的な話を
それはそれは克明に聞き取っていらっしゃる

こういう地道な研究は
ほんとうに大切だと思う
実践者がいなくなった時には
なくなってしまう「人の営み」を
確かに　聞き取っていらっしゃる
斎藤たまさんのお仕事は
ほんとうに大切だと思う

2016/10/02

現在トイレにはトイレットペーパーが置かれているが、トイレットペーパーが使われるようになる前は質の悪い紙が使われていた。その紙を「落し紙」と言う。しかしそれより前の紙が貴重品だった頃は紙の代わりに何を使っていたのか。著者が日本各地を訪ねてトイレにまつわる話を集めたもの。昔の人のトイレ事情が垣間見えます。

2011/04/02

若い人には落とし紙という言葉がもはや死語かもしれない。私の子どもの頃には、菓子箱などに入れた縮緬状に加工されたトイレ用の紙が積み重ねて隅っこに置いてあったものだ。同級生の家のトイレを借りると新聞紙が切って入れてあったのを思い出す。（田舎では始末して使う家もあったよう）しかし・・・アジサイの葉っぱなどは拭きやすそうだが、藁とか（これはとてもお尻が痛いらしい）藻とか、木べらとなると拭くというよりぬぐうという感覚か。
スーパーに行けば簡単に手に入るトイレットペーパー、葉っぱでも木べらでも、しょっちゅう家族が使うものを用意するのがどんなに大変だったか本を読むとよくわかる。食生活の違いから現代と違って一日に３．４回は大きい方の用足しがあったということだ。