玉の輿同盟

宇佐美游(著者)

• 販売会社／発売会社: 角川書店/
• 発売年月日: 2003/04/25
• JAN: 9784048734653

商品レビュー

2009/07/16

谷崎真里、吉町佳南子、堤明日香は、3人とも32歳のOL。

真里は、同じ会社で働く南原信彦と付き合っており、すでに公認の中。背が高くハンサムで学歴も良いのだが、「仕事がつらい」と言って真里の胸でおいおい泣くのが玉にキズ。

佳南子は、潤んだ瞳を持つ美人。39歳で独身の＜いばりんぼ馬鹿＞権藤重光と付き合っている。佳南子の迷惑も顧みず部屋にやって来ることにはうんざりだが、もう少し我慢して結婚を、と思っていた。ところがついうっかり本音を口にし彼を怒らせてしまった。

明日香は、＜年下の気難しい男＞秦野均と付き合っている。しかしホテルで好きな女ができたと言って突然ふられてしまった。

佳南子と明日香が同時に、真里に嘆きの電話をかけ、真里の部屋に集まることに。そこで、3人揃って玉の輿に乗ろうと「玉の輿同盟」を結ぶ。田園調布生まれの明日香の幼なじみで、証券会社勤務のお坊ちゃま藤田に頼み、玉の輿お食事会をセッティングしてもらうことになった。

これはおもしろかった！　笑ったあ。すごく楽しい小説です。女三人がね、がんばるんですよ。そのがんばりようが、ときに腹立たしかったりときに哀しかったりするんだけど、それぞれのやり方でがんばって、彼女たちなりの玉の輿を見つけるんですね。

真里がね、すんごいしっかりしてるの。姉御肌ってこういう人のことを言うのね。真里語録を作りたくなるくらい、名セリフを吐くんですよ。たとえば……

「いいとこ（嫁に）いってもそれなりのとこいっても、問題なんて絶対になんかしらあるもんよ。どうせなんかあるなら、いいとこいった方が得に決まっとる。なんぼ仕事を持っとってもな、女の人生は男次第や。人生八十年、あてら来年三十三で結婚したら、あとの四十七年は一緒になった男で人生の色が決まるのや。それにな、親兄弟、親戚筋がうるさいのは金持ち、エリートに限らん。そもそもや、経済力のない男に限って心も幼い」

とか、

「いいビジネスをやってる女性は、夫がもっと上のクラスなもんよ。彼女たちは夫からいい?気?をもらってはるのや。具体的に言うと知識と経験と人脈。ヒモ付きの女は、一時的にちょっと成功することはある。けどしょせんヒモに三千円渡して『あんた、今日はこれだけ使って待っててね』の世界や。大きな飛躍はせん」

とか、

「エリートの友達はエリート、お坊ちゃまの友達はみなお坊ちゃま。育ちのいい、今の自分に満足しとる男は、そうそう意地汚いことはしないもんや。五流の男ほど金と女に欲が深い、意地汚い」

とか。もうたまりませんよ、ホントに。かっこよくて。「お姉さまあ」としなだれかかりたくなっちゃう。南原が真里の胸で泣く気持ち、よくわかります。こういう人にはあたしも憧れます。

ここに出てくる男たちがみんなしょーもないヤツばっかりで、どうも彼女たちの周りにはそういう男どもが集まってきちゃうんだけど、そんな男たちはちょっと憎めない部分も持ち合わせていたりするので、彼女たちの苦労がよおく伝わってきます。そこが苦しいところでもあり、笑えるところでもある。

これドラマにしたらおもしろいと思うんだけど。この人は誰がいいかな、なんてキャストを想像しちゃいます。宇佐美游の本の中では今のところ本書がイチオシ！

読了日：2007年6月25日(月)

2008/02/28

32歳のOL3人が本当の幸せを求めて同盟を組んだ。医者、官僚、テレビマン…
とコンパ、お見合いを重ね、泣き、笑い、悩みながら見つけた幸せは!?
妙齢の女のかわいさ、したたかさ、それを取り巻くダメ男の姿をリアルに
描き出す、痛快玉の輿小説。

2006/04/13

30代独身。恋人との関係に問題を抱え、結婚を焦る女達。分かりやすいといえば分かりやすい構図です。結婚平均年齢は上がってるし未婚率は高くなってるし、結婚なんてしなくてもいいや〜、なんて思ってても周りが結婚しだすと途端に不安になる。今の恋人と別れたら、その後新しく恋人が出来る可能性は下がっていく。仕事だっていつ首を切られるかわからない。結婚した友達とは話題も違ってきて、一人寂しく年をとっておくんだろうか･･･なんて考えると、結婚したほうがいいんじゃないかなって思い始めてしまいます。でも本当に欲しい自分にとっての「玉」が何か、分かっていればそれを追い続ければいいんです。3人のヒロインのように攻めの姿勢で行きましょう！･･･でもそのバイタリティがないから結婚に逃げたくもなるのが現実ですかね。